SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

Biz/Zineセミナーレポート

会社を変える新規事業は何が違う? 田所雅之×合田ジョージ、事業創造の“本質”と不都合な“真実”

  • Facebook
  • X

不都合な真実「事業開発偏差値」と特化型人材

北島:次は「人材」に関するテーマです。合田さんの著書『新規事業の本質』でも人材要件について相当ページ数を割いていますが、事業を生み出すケイパビリティを持つ人材をどのように見つければよいのでしょうか。

田所:私は人材のレイヤーを分けることが重要だと考えています。経営陣には、自社のアセットを掛け合わせる「構想力」と「ビジョン」が必要です。ミドルマネジメントには、それを戦略に落とし込み組織化する力。そして現場には、プロダクトマネジメントや、AIには感知できない「この空間は心地よい」といった人間特有の「UXの知見」が求められます。

合田:田所さんの整理は本当に素晴らしいと思うのですが、少し本音トークをしてもよろしいでしょうか。会社として新規事業を後押しする文化や人事制度が整ってきたとき、最後に立ちはだかるのがやはり「人」の問題なのです。

 いつもこれを言うと怒られてしまうのですが、「オリンピックに出られる人は全員ではない」ということです。100億円、1,000億円クラスの事業を興せる人材というのは、評価指標で言えば「超特化型のSSクラス」です。構想力が大きく、行動力があり、内省力が利く。明確な「事業開発偏差値」というものが存在してしまっているのが不都合な真実です。

北島:それは残酷ですが、非常にリアルな現実ですね。

合田:はい。製造業などボトムアップの文化圏では、トップダウンで一人の優秀な人材にリソースを集中させることを極端に避ける傾向があり、公平性や“嫉妬”が壁になることもあります。「この人でなければ勝てないが、あの人では無理だ」というケースが現場では頻出しており、社内起業においてもシリコンバレーの起業家のような「事業開発に必要な能力を高い水準で備えた人材 」が求められつつあるのが現状です。

4つの型で紐解くチーム論と「戦略参謀」の重要性

北島:全員が起業家のようなハイスペック人材になれないとしたら、チームで進める形でも良いのでしょうか。

田所:おっしゃるとおりです。私は人材を「Why型(ビジョナリー)」「What型(戦略参謀)」「How型(プロジェクトマネージャー)」「Who型(フォロワー)」の4つに分けています。

 新規事業のチームビルディングで一番やってはいけないのが、「ビジョナリー」と「プロジェクトマネージャー」を直接組ませることです。ビジョナリーは朝令暮改で、朝言ったことを夕方にはひっくり返します。それをそのままPMが受けると現場が崩壊します。ここで重要なのが、ビジョナリーの言葉を抽象化・咀嚼し、戦略に落とし込んでPMに渡す「What型(戦略参謀)」の存在です。この仕組み作りを担う人材が極めて希少で重要になります。

北島:なるほど、役割を明確に分けることで属人性をカバーするわけですね。

田所:0から1を生み出す“きっかけ”は誰にでもありますし、PMも場数を踏めばコツが掴めます。しかし、外部環境を咀嚼して戦略に落とし込む力や、起業家のように「1を聞いて15を理解する学習能力と好奇心」を持つ人材は一握りです。野心と好奇心を持つ人にとっては、これほど成長できる領域はないと思います。

合田:チームで進めることについて補足すると、「事業案を考えた人が最後まで事業をやるべきだ」というのは迷信です。0から1を作る人、実行する人、スケールさせる人は、求められるリーダーシップがまったく異なります。フェーズに合わせてトップを入れ替えていく柔軟性が、日本の企業にはもっと必要だと感じています。

次のページ
既存事業のPL至上主義を脱却する「3階建て」組織

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
Biz/Zineセミナーレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X

Special Contents

PR

Job Board

PR

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング