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起業の失敗から壁に直面した時、「ホラクラシ―」に出会い、“全員参加経営”を模索する

ダイヤモンドメディア 武井浩三氏 × Lean Startup Japan 和波俊久氏 対談第1回

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起業の失敗経験が気づかせた「会社の本分」

和波(Lean Startup Japan LLC 代表社員 プロセスコンサルタント):
 武井さんは今の会社が2度目の起業なんですよね。

武井(ダイヤモンドメディア株式会社 代表取締役 共同創業者):
 はい。ダイヤモンドメディアは2007年創業で、その前に別の会社を1年で潰しています。

和波:
 最初の会社を始めたきっかけは?

武井:
 僕は子どもの頃からミュージシャンになりたいと思っていて、ロサンゼルスの大学に留学し、音楽学部を卒業しました。その留学中、自分の職業観が変わるきっかけがありまして。周りの友達が、まだ若いのに自分でビジネスをやっていたんですよ。例えば車が好きだから壊れた車を仕入れて直して売ったり、友達がやっているリサイクルショップに物を卸したり、友達関係や生活の延長線上でビジネスをやっているんですね。「ビジネスってそんなに簡単に始められるものなんだ」と衝撃を受けて、「仕事を始めるならまずは会社に就職しなければいけない」という思い込みがなくなりました。それで21歳で帰国後、ミュージシャンを目指しながら、バイトするくらいなら起業しちゃおうと、友達を3人誘って会社を作りました。

和波:
 なるほど。どんな事業だったんですか?

武井:
 ファッション系のCGMメディア事業です。当時はライブドアショックの後で、僕くらいの世代の起業家はITバブルを知らないんですよ。だからITに夢を馳せて、ということではなく、現実的に可能性のあるビジネスとしてITを選びました。
 ファッションは今後ECが伸展する。そうなると、商品単位での検索や販売が伸びてくると予想できました。でも、世の中にあるファッションのお店のほとんどは、商品のセレクションやマーチャンダイズによる付加価値がビジネスのコアにあるので、商品単体ではなくお店の価値を拾い上げてあげるようなメディアがあったら面白いんじゃないか――、そう考えてやってみたんですが、全然ダメでした。

和波:
 面白いアイデアですけどね。

武井:
 僕らにビジネスの経験がなくて下手だったというのもあるし、まだそこまでのニーズもなかったというのもあります。
 結局1年かけて失敗して、M&Aで売却したので借金だけは返せましたが、僕らに残ったのは経験だけ。この時に、僕はものすごく責任を感じたんです。一緒にやったのは高校時代からの友達で、ひとりは大学を、もうひとりは大企業を辞めて手伝ってくれて、しかも1年間極貧生活でした。単なるビジネス・パートナーであれば自己責任と割り切れますが、彼らは僕が誘ったからそういう判断をしたので、僕はどう責任を取ったらいいのかと……。
 その時に初めて、金を稼ぐとか世の中に何かを提供するといった野心的なことではなく、なぜビジネスをするのか、特に、どうして会社というものが存在するのかということについて、すごく考えたんです。

武井 浩三武井 浩三 氏(ダイヤモンドメディア株式会社 代表取締役/創業者)

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