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宇田川先生が埼玉大学大学院人気准教授に訊く、金融業・労働の未来と「研究の意義」

[公開日]

[語り手] 長田 健 金井 郁 [聞] 宇田川 元一 [取材・構成] フェリックス清香 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 教育 企業戦略 MBA 社会人大学院

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研究から考える、銀行が今後とるべき戦略とは

宇田川:産業としての民主化と政治体制の民主化は、必ずしも一致していないという現象が銀行の領域では起こっているわけですね。しかし、各国は利便性だとか民主的だとかという建前の裏に、情報収拾したい等の本音を持って行動したり、完全に自由に任せたりしていると思うのですが、日本の金融行政はやや中途半端ではないかと思います。護送船団方式でもなくなっているのに、変化をせよと言いながら規制によって変化をさせないメカニズムがあるように思いますし。そんななかで、長田先生は現在の銀行をどう評価していますか。今後、各銀行がとりうる選択肢にはどんなものがあるのでしょうか。

長田:そうですね、中途半端ですよね。都市銀行やメガバンクは頑張っていると思うんです。かなり海外に出て、世界中で融資を行なっていますから。問題は地方銀行です。銀行は安定していると思われているけれど、もはや今はAmazonとも戦う必要もあるかもしれない、イノベーティブな世界だということを、銀行員は認識しないといけないですよね。

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宇田川:そうですね。スルガ銀行は2003年に独自戦略が評価されてポーター賞をとりましたが、近年では大問題を引き起こしてしまっていますね。地方銀行は付き合う先が決まっていて、顧客の側も少ない選択肢からどちらの銀行をとるか、というような状況で、人材も地域の中に閉じてしまっている。もちろんそれは、地方銀行だけの責任ではないのですが、イノベーティブな組織づくりなどがまだまだなのだろうなと思います。地方銀行というのは、地方経済を作るというのが本来の仕事ですが、それができていない状態ですし。

長田:バブル崩壊後、銀行員は金融行政に相当厳しく締め付けられてきたために、常に金融行政の顔色を伺いながら経営行動をするカルチャーができてしまいました。今の銀行の中間層の人たちはバブル崩壊後に入行した人ばかりで、不良債権処理のスペシャリストは多くても、本来の仕事がしにくくなっているのですよね。だいたい小さなビジネスを起業したばかりの人はみな、銀行には頼めないから公庫に相談するといいますし。

 でも、本来の活動をしたいのであれば、金融行政の顔色を伺っているのではなく、情報をとることに長けている産業と連携するなどして、本来の仕事ができるようにしていかなければいけないんですよね。

宇田川:お話を聞いていて、銀行は何をやる必要があるのかと問われている時代なのだと感じました。それがわからなくなっているのであれば、銀行よりも他業種のほうが良い仕事ができるかもしれない。本来の仕事をするために組織のあり方も大きく行かなければならないということで、今の研究をなさっているのだ、とわかりました。本来大切にすべき価値を守るために、変えなければならないことは大胆に変えるというのが改革ですよね。

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