登壇者紹介
- Spiral Capital株式会社 Managing Partner 岩瀬 大輔氏
- ソフトバンク株式会社 人事総務統括 人事本部 副本部長 兼 採用・人材開発統括部 統括部長 兼 未来人材推進室 室長 兼 グループ人事統括室 室長 源田 泰之氏
- バブソン大学アントレプレナーシップ准教授/東京大学教授/ベンチャーカフェ東京代表理事/CICJapanプレジデント 山川 恭弘氏
- モデレーター:株式会社ゼロワンブースター 取締役 共同代表 合田 ジョージ氏
ゼロからイノベーターを育むエコシステム「ソフトバンクイノベンチャー」とは
Special Talk Sessionでは、各方面で新たな事業創造に取り組む3名をパネリストに迎え、主催であるゼロワンブースターの合田ジョージ氏がモデレーターを務めた。登壇者の1人目はソフトバンクで新規事業提案制度(ソフトバンクイノベンチャー)の責任者を務め、2016年に設立した公益財団法人 孫正義育英財団の事務局長も兼任する源田泰之氏、2人目はDXによる事業創造・改革への投資を担い、スタートアップと大手企業の橋渡しも行うSpiral Capitalの岩瀬大輔氏、そして、3人目はバブソン大学アントレプレナーシップの准教授として教鞭を執りながら、東京大学教授やベンチャーカフェ東京代表理事、CIC Japanプレジデントなどと幅広く活躍する山川恭弘氏。いずれも日本の次世代を担う事業開発のキーパーソンだ。
まず、「ソフトバンクイノベンチャー」について源田氏から紹介が行なわれた。ソフトバンクでは、ジョイントベンチャーの設立などにより海外の最先端のテクノロジーやビジネスモデルを日本に取り入れる「事業開発統括」や、法人事業のなかでDXによる新規事業を創出する「DX本部」など、様々な形で新規事業開発を行なっている。そのなかで人事部門が推進するのが新規事業提案制度「ソフトバンクイノベンチャー」(運営:SBイノベンチャー株式会社)だ。
完全に「0→1」の事業開発の制度であり、ソフトバンクグループが創業30周年を迎えた際に発表された「ソフトバンク 新30年ビジョン」を受けて2011年に立ち上げられた。ソフトバンクといえばトップダウンやM&Aが強いという印象があるかもしれないが、「ソフトバンク 新30年ビジョン」で発表された「戦略的シナジーグループ5000社」の目標の一翼を社員起点の事業で担わせたいという思いから始まったものだという。社員の新規事業提案に対して事業可能性を検証し、認められると資金が投入され、手をあげた人が社長となって事業を推進していく。
これまで7社が立ち上がり、外部からの出資を受けた会社もあるという。もともとアイディアのみで仲間も確信もなにもないところから4700人が参加するコミュニティ「イノベンチャーラボ」で事業開発のサポートを受けながらアイディアのブラッシュアップを重ねる仕組みもある。実際に事業化する際にはSBイノベンチャー株式会社の事業推進部門からハンズオンでの支援が行なわれ、また事業化後にも「イノベンチャースタジオ」による手厚いサポートが受けられる。
新規事業開発を人事部門が推進する意義について、源田氏は「人の成長が会社の成長につながるという発想が根底にある。また、そのような制度があることが採用における魅力にもなる。事業を作ることが目的であることは大前提だが、人材育成にもなり、採用にもつながるという側面がある」と説明する。
ソフトバンクのこうした取り組みについて、山川氏は「すごくユニークで興味深い」と評し、「日本の企業の古い体質として新規事業にはエース級を投入しないという傾向があるが、それを打破するような起爆剤になってほしい」と期待を寄せた。岩瀬氏も「様々なチャレンジをしたいという若年層を惹き付ける取り組みだと思う。ベンチャーか大企業かの二択ではなく、新たな事業を創り出すという経験を準備するという意味ですばらしい」と語った。