良品計画が推進する「地域への土着化」──ローカルとグローバルでの経済成長が矛盾しない理由
ゲスト:株式会社良品計画 執行役員 営業本部 千葉・会津事業部長 生明弘好(あざみ ひろよし)氏
ビジネスのルールが急速に、劇的に変化している。経営はどう変わる必要があるのか。本連載では、武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科 教授であり、ビジネスデザイナーの岩嵜博論氏をモデレーターに、経営者・実践者などとの対談により、新しい資本主義と企業経営のかたちを明らかにすることを目指す。今回のゲストは株式会社良品計画 執行役員 千葉・会津事業部長の生明弘好氏。「日常生活の基本を担う」以外の新たな経営戦略として「地域への土着化」を掲げ、従来のチェーンオペレーションとは一線を画す取り組みが目立つ同社は、社会貢献と企業としての成長の両立にどのような解を導き出しているのか。
なぜ今、「地域への土着化」なのか
岩嵜博論氏(以下、岩嵜):最近の良品計画の動きを象徴するのが、「地域への土着化」という経営戦略です。なぜ今「地域への土着化」なのでしょうか。その意味するところからお聞きできればと思います。
生明弘好氏(以下、生明):私たち良品計画は、日本全国、津々浦々に出店を進めていますが、ゆくゆくはそれを世界中にまで広げたいとも思っています。ただ、津々浦々といっても、地域にはそれぞれの文化や独自性があり、一つとして同じ場所ではありませんから、均一的なオペレーション、品揃え、店舗では必ずしも対応できないことが課題です。それぞれの土地に即した価値提供が必要になるというのが、土着化の一つの意味合いです。
一方で、日本全国で人口減少や高齢化と、それに伴う産業の衰退が進んでいます。第一次産業だけでなく、かつて地域に多くの雇用を生んできた製造業も、どんどん衰退している状況です。このまま地域が衰退し、マーケットとしてもシュリンクしていけば、我々の経営にも大きな影響が生じます。企業としての存続の基盤さえ失われかねないという危機感がありました。
岩嵜:そのような背景があるのですね。まずは何から始めたのでしょうか。
生明:そうした地域に対してこれまで私たちは、グローバルなサプライチェーンを通じてコストを抑えた形で商品を調達し、販売してきました。もちろん店舗を開店することで、一定の雇用を生んできたところはあります。とはいえ、地域経済に与えるポジティブなインパクトは、そこまで大きくなかったと言えるでしょう。
私たち自身がその地域で存続するためにも、今後はより積極的に地域の経済循環に貢献する必要があります。このような考えから、その地域で作られたものを販売する、あるいは我々自身が企画から関わり、その地域で生み出し、販売するような取り組みに、力を入れ始めているわけです。
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