設立趣意書を現代に置き換えた「感動を届ける」の意味
紺野:平井さんはCEOになる以前、ソニー・ミュージックエンタテインメントなどいくつかのグループ会社でお仕事されてきた経歴をお持ちですよね。エレクトロニクスなどの主力事業ではないところからCEOへとキャリアを進めた平井さんにとって、経営危機時代のソニーはどのように映っていたのでしょうか。
平井:私がCEOに就任した2012年、主力事業であったテレビの売上はすでに7年連続の赤字を出していましたし、株価の低迷や世間でのネガティブな報道も相まって、社員たちの精神は疲れ切っていました。製品の価格や商品力でも海外の競合に負けてしまい、「もうダメなんじゃないか」という雰囲気が蔓延していたのです。