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デロイト トーマツ、「Tech Trends 2023 日本版」を発行 6つのトレンドテーマに焦点

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 デロイト トーマツ グループは、デロイトがビジネスに関わるテクノロジー領域の最新動向や分析をまとめたグローバルトレンドレポートをもとに、日本独自の視点を加えた「Tech Trends 2023 日本版」を発行した。

 グローバル版は14回目、日本版は9回目の発行となる同レポートは、今後1年半から2年の間に顕著になると予測されるテーマを取り上げ、技術傾向や流行に加えてビジネスへの影響を解説しているという。

 今回の大きな特徴は、新しいマーケットを切り拓く新たなテクノロジーが注目されているだけでなく、従来からあるテクノロジーやテクノロジー人材を長期的に生かし、新しいものと融合させることの重要性が強調されている点だとしている。

プレスリリースより抜粋

  • 進化するテクノロジーを活用し成長につなげていくElevating forces(上昇力)として「画面を超えて」、「AI社会への扉を開く」、「メタクラウド」の3章で、メタバースの活用、信頼に基づくAI 活用の深化、マルチクラウドの駆使と適切な管理に焦点をあてています。企業がいかに戦略的に技術を活用し、重要な資産を構成するのかを念頭に置いた上で、技術開発や業務改革、DX施策の展開についての方策や論点が紹介されています
  • 地に足を着け既存の仕組を適切に管理していくGrounding forces(接地力)として「柔軟性、最高の能力」、「我々は我々自身を信じる」、「先進技術との連携と拡張」の3章で、柔軟性の高いテクノロジー人材の獲得、信頼獲得のためのブロックチェーン活用、メインフレームを活かしたモダナイゼーションに焦点をあてています。人材の獲得をはじめとする足元の課題解決のための視点や日本が持つ既存のアセットを生かしつつ、長期的な視点で機能を維持すること、あるいはそのための基盤構築の方策について考察しています

 「Tech Trends 2023 日本版」が取り上げる6テーマと日本の動向は以下のとおり(プレスリリースより抜粋)。

1. 画面を超えて:エンタープライズ向け没入型インターネット

 近年、デジタル世界への接続は、小型化する画面から画面を超えた没入型のバーチャル体験に導くインターフェースへと変化している。接触型・対話型・仮想型インターフェースは、エンターテインメント要素が高かったが、今後数年間で、ビジネスツールへと変化していく。新しいインターフェイスとAI、ブロックチェーン、5G、IoTの活用が進み、3D空間コンピューティングと組み合わせることで、「unlimited reality(限界のない現実)」と呼ぶべき新たなパラダイムシフトを起こしていくことが予想される。2021年から起きたメタバースブームはすでに沈静化し始めているものの、没入型インターネットの可能性や将来性は発展を続けている。この流れに取り残されずに次の時代に進むためは、SF的な超技術の夢物語ではなく地に足をつけて技術や実装に向き合うことが重要である。

2. AI社会への扉を開く:AIを仲間として信頼すること

 AI 活用が普及期に入り、AIをヒトの代替としてではなく継続的に協業していくためにいかに「AIを仲間として信頼」していくかという考え方が重要となる。「仲間」としての存在になるためには、データの透明性、AIの説明可能性と信頼性がカギになる。

 協働によりビジネスを進めていくという観点で注目すべき技術のひとつが「生成系AI」である。Chat GPTのような大規模言語モデルや画像生成AI、また作曲や音声合成などの技術も登場している。一方、AI活用が進むにつれ、AI 倫理を考えるべき出来事も発生し、「Trustworthy AI」の重要性について認知され始めた。

 これからAIを使いこなすには、各組織のビジネスの推進者が自分事としてAIの仕組みやリスクを理解し、課題を個々の事業・機能に任せきりにせず、組織としてサポートするための教育や有識者チームの確保、既存の財務・法務・人事などの業務プロセスとの統合整理といった取り組みを進めなければならない。

3. メタクラウド:マルチクラウドがもたらす混沌の掌握

 海外や一部の先進組織においては、複数のクラウドサービスやベンダーを組み合わせたクラウド活用が進んでいる。クラウドサービスごとの設定や運用の違いによるマルチクラウド管理の複雑さを解消するため、マルチクラウドを透過的に管理するようなメタクラウド(スーパークラウド、またはスカイコンピューティングとも呼ばれる)という概念に関心が集まっている。

 一方、日本企業においては場当たり的な導入によるクラウドサービスの乱立状態も多く、まだ最適な利用ができていない状況のため、まずはクラウド基盤の整備をしっかり進めていくべきである。すべての検討を自組織のリソースだけで行うことは現実的ではないため、外部の支援サービスを用いつつ、伴走してもらう中でそのノウハウを自組織に貯めながら推進していくことが重要である。

4. 柔軟性、最高の能力:テクノロジー人材の再創造

 DXのニーズ拡大に応じてテクノロジー人材の需要は高まり続けているが、限られた人材の獲得をめぐって他社と競争するのではなく、ジョブ型雇用を違う視点で捉えた「スキルベース」アプローチが注目されている。実績や経験は少なくても、テクノロジースキルだけではなく新たなスキルを学び続ける素養や、テクノロジーの見極めとそれをビジネスに適用する発想力といったソフトスキルにも注目して柔軟性の高い人材を確保し、獲得した人材に魅力的な経験を提供することが人材獲得への柔軟性を高め継続的な成長につながる。

 テクノロジー人材に関して今後日本企業が取るべき道は、「スキルベース組織の構築に向けたスキルの体系化」と「社内の非テクノロジー人材の育成・活用強化」、および「従業員主体のキャリア形成促進」の3点である。テクノロジー人材獲得について、これまでのやり方では通用しないため、日本企業が生き残っていくためには変化への対応力の強化が必須であろう。

5. 我々は我々自身を信じる:分散型アーキテクチャーとエコシステム

 ブロックチェーンを利用したエコシステムは、デジタル資産の開発とそれを用いた収益化だけでなく、新たな信頼の形を構築するためのカギとなりつつある。2023年に日本では、1.規制など(税・会計含む)のさらなる整備、2.既存(大手)企業の積極参入、3.マスアダプションへの関心の3点がトレンドになると予測している。日本には世界的に人気のあるアニメやゲームなどエンターテインメント業界が保持するIP(知的財産)が多数ある。今後の日本の成長エンジンとなりうるこれらの領域においてNFTなどWeb3のテクノロジーを使って発信したり、メタバースなどデジタル空間上での経済活動が拡大する中でデジタル資産や決済手段としてWeb3を活用したりすることへの期待も大きい。

 これまでのマニア層向けのサービスがマス向けUXへ改善されるマスアダプションへの一歩を踏み出す年となるであろう。

6. 先進技術との連携と拡張:メインフレームモダナイゼーションの新たな歩み

 集中管理型の大型コンピュータシステムに代表されるメインフレーム(大型汎用機)のモダナイゼーション*は、単なるレガシーシステムの置き換えから、先進的な技術との連携と拡張へと変わってきている。今まで用いられることが難しかった、独立したシステム上のデータや人の動きなど「つながれていない」もしくは「電子化されていない」データを電子化した上でつなぐことが、ビジネス変革を進めていく上でカギとなる。

 モダナイゼーションは単に「メインフレームを脱却するか否か、クラウドにシフトするかどうか」という問題ではなく、「データ」をいかに価値あるものとして利活用できるようにするかという点が重要になる。こうした「データ」に着目した「モダナイゼーション」では、メタバースやNFTなどの新たなデジタル技術とも組み合わせて、さまざまなデータを利活用したユースケースやビジネスモデルを検討していくことも重要になる。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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