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「一人一つのデジタルクローン」で人間を⾮⽣産的労働から解放する──オルツが目指すパーソナルAIの普及

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オルツが生成する「デジタルクローン」とは

──まずはオルツの事業や技術について教えてください。

米倉千貴氏(以下、米倉):2014年11月に設立したオルツは、ユーザー個人のデジタルクローンをつくり出し、デジタル上に再現することに取り組む企業です。また、そのプロセスで生まれた技術や成果を切り出すことによって、SaaSプロダクトやサービスを開発・提供しています。

 中でも音声認識技術を活かしたのが、自動議事録ツール「AI GIJIROKU(議事録)」です。AIの学習機能によって、利用する度に文字起こしの精度が向上するようになっています。主要35ヵ国語以上のリアルタイム同時翻訳に対応しており、金融、医療、製薬、化学、建設などの業界・業種に特化した、音声認識精度99.8%の最先端モデルです。

 オルツは「AIクローンの生成」という会社のテーマ上、パーソナライゼーションの技術に強みがあります。喋り方やイントネーション、口ぐせや、どんな文脈でどんな言葉を使うのかといった個人に関連する情報とAIを上手く組み合わせることによって、個人の特徴に基づいた結果を提示できるのがアドバンテージですね。

 以前、オルツで明石家さんまさんのデジタルクローンを作るプロジェクトに参画したことがあります。その際、声の出し方や目の動かし方を含めたすべてを、さんまさん固有の思考のプロセスとして捉えました。

 私たちは将来的に「個人の思考そのもの」を未来に残すことを意図して事業を行っています。また、その対象は、さんまさんのような特別な人だけでなく、あらゆる個人が自分で扱えるようになることを目指しています。

──オルツの会社紹介では「リーン経営」という言葉がありました。組織としてはどのような特徴があるのでしょうか。

米倉:リーン経営には「最小限の経営資源で最大限の顧客価値を提供する」の意味を込めており、少数精鋭のメンバーでオルツは構成されています。オルツは、P.A.I.(パーソナル⼈⼯知能)といって、個人が自分の仕事を任せられるクローンをつくり出そうとしている企業です。誰でもできる仕事のために大量のメンバーを雇うのは、企業の世界観と一致しません。

 基本的に、誰でもできる仕事についてはAIに委ねる方針で、専門的な技術や、その人でしかできない意思決定や戦略の立て方を持つメンバーが集まっています。

 P.A.I.とは、個々人の特徴を反映したデジタルクローンですが、オルツでは既にSlackで実装しています。私自身、人事評価や新人教育で「クローン米倉」を活用しています。クローン米倉は私のコミュニケーションのあり様をコピーしており、大概のことについて“米倉らしい”会話や判断の対応ができる状況になっています。

 また、クローン米倉が話している動画も公開しています。

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皆本 類(ミナモト ルイ)

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