未来のビジョンを探索する際の独自の方法論を定めたコニカミノルタ
パネルディスカッションに先立ち、まずは登壇者2名の自己紹介や所属組織の紹介が行われた。
最初に、登壇したのはコニカミノルタのデザインセンターに所属し、新価値創出スタジオ「envisioning studio」の推進も担う神谷泰史氏だ。神谷氏の専門領域はイノベーションマネジメント。楽器メーカーにおいて新規事業開発やイノベーションマネジメントに従事するなかで、デザイン思考などのデザインの方法論に出会った。また、キャリアに並行してサウンドアートの制作も手がけていたことから、現在はアートとデザインをビジネスに応用し、イノベーションを創出する試みや研究にも取り組んでいる。
神谷氏が所属するデザインセンターは、ブランド構築やイノベーションに資するデザインの実践を通じて、デザイン経営を推進する組織。独自の「コニカミノルタデザイン思考」を体系化し、eラーニングや研修プログラムなどを通じて、デザイン思考の全社浸透を進めている。
神谷氏は、それらの施策を指揮・支援するとともに、未来に向けたビジョン創造やイノベーション活動の定着にも従事。新価値創出スタジオ「envisioning studio」の運営を通じて、既存の価値観の延長線上には存在しない、未来のビジョンを探求している。
envisioning studioの特徴は、未来のビジョンを探索する際の独自の方法論「envisioning process」を定めていることだ。envisioning processでは、新価値創造の起点として未来ビジョンを構想する。その未来のビジョンを思い描く際に、現在を起点に未来に視点を向ける「Forecast」と、未来を起点に現在に視点を向ける「Backcast」の二つを組み合わせ、過去を踏まえながら未来を見通すアプローチを採用している。コニカミノルタの150年の歴史を通じて現在を位置付け、未来を見通すことで、自社独自のビジョンを思い描くことができる。
envisioning studioはこの方法論をコニカミノルタの各種施策で活用している。具体的には、コニカミノルタが提供しうる2080年まで続く普遍的な価値を探求するenvisioning studioのプロジェクト「KM2080」などに採用し、未来洞察を通じた新価値創造に取り組んでいる。