贈与経済2.0は無理な成長に歯止めをかける
樫田:なるほど。贈与経済2.0は、贈与を「価値」として持ち運べる仕組みなんですね。それでは、このアプローチが資本主義の問題をどのように解決するのでしょうか。
荒谷:現状の資本主義では、将来の不安から過剰な生産や貯蓄が生まれがちです。しかし贈与経済2.0があれば、仕事をしてお金を稼ぐ以外にも、人を助けるという行為を通じて、いざというときに助けてくれる人々、あるいはそのネットワークを分散的に得られるようになるのでしょう。贈与経済では自分だけを頼りにして生きるのではなく、互いの贈与の中で生きていくことが期待できます。そこでは何しろ、みな他者に贈与することにインセンティブを持っているので、信頼できる人が困っていればまさに「贈与のチャンス!」と思うわけですから。