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『21世紀の脳科学』が語る、働きやすい職場環境をつくる「SCARF」とは?

『21世紀の脳科学 人生を豊かにする3つの「脳力」』

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ファースト・インプレッション:どうしてこの本を手にしたのか?

 現在、 Biz/Zineでは、「脳科学」に関する企画を検討中です。しかし、資料を集めれば集めるほど、

多くのビジネスパーソンにとって、もっと平易に、かつその知識をどのようにビジネスに活かすことができるのか

に関して、良いヒントを与えてくれる本に遭遇できずにおりました。

 本書の前に読んでいた書籍が『フューチャー・オブ・マインド―心の未来を科学する』(ミチオ・カク (著) / NHK出版)です。このようなボリュームのある専門書を読むのは久々でしたが、いろいろなヒントが散りばめられておりました。しかしボリュームが多く、忙しいビジネスパーソンが本書の内容を理解し、かつそのエッセンスを応用してビジネスに活かす方法へ思いを巡らすとなると、かなりハードルが高い作業となります。この本を読んだあと、アマゾンさんのアルゴリズムに捕捉され本書を購入しました。

人間の3つの“脳力”とは何か?

 本書冒頭のプロローグにあるように、本書はカリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学部の教授である筆者、マシュー・リーバーマン氏の「社会認知神経科学」の研究成果、特に進化が私たちにもたらした“つながり脳”の特徴を活かし、生産的な職場や組織を構築するために必要なエッセンスが凝縮されています。

 最初に筆者が語ることは、進化の過程で人間の脳が獲得した「3つの脳力」に関して。この脳力こそが、人間を人間らしくする「社会性」をもたらすとしています。そして、その「脳力」は、人が活き活き働きやすいような職場環境、組織・チームを構築することに非常に威力を発揮するとしています。ここが他の脳科学の専門書とは立ち位置が異なる点だと思います。では、3つの“脳力”とはいかなるものでしょうか。

第1の脳力「つながる」

 人間の進化の過程で、「社会的苦痛」と「社会的喜び」という2種類の基本的な動機が与えられました。乳幼児が親から放置されることを苦痛と感じる。親は我が子の世話をすることに喜びを感じる。そんな種類の「苦痛と喜び」です。

第2の脳力「心を読む」

 第1の脳力「つながる」という人間の特性は、その集団のなかで他者との交渉を優位に進めるために、他者の心理状態を読むという脳力を、脳のネットワークに与えました。そう、第2の脳力は「心を読む」です。打算的な交渉に限らず相手の心をおもんばかるような際にも活用される「脳力」です。

第3の脳力「調和する」

 3つの脳力の中で最大のものが「調和する」です。人間は自分が他者とは違う特別な存在だと思うように考えます。しかし、同時に脳の中では、社会や集団が望むような人物像を本人が気づかぬうちに植え付け、かつ、自ら進んでその価値観を選択していると思わせる。それが、人間の進化の最大の「脳力」、「調和する」だとしています。

 では、この「3つの脳力」は、ビジネスにどのように役に立つのでしょうか。次項以降で、ビジネスでの活用として本書で語られている主要なメッセージを辿ってみましょう。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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