2026年1月19日、NECは知的財産業務の効率化と高度化を支援する「知財DX事業」を開始したと発表した。本事業の第一弾として、独自AIによるSaaS型業務効率化ツールとコンサルティングサービスの提供を2026年4月より開始する。NECは2030年度末までに売上30億円を目標としている。

企業の競争力向上と知財ポートフォリオの戦略的な評価・管理への重要性が増す中、知的財産部門では膨大な情報の迅速な整理や的確な判断が求められている。一方で、知財人材の不足や業務の属人化といった課題が深刻化し、組織全体の生産性向上が難しい状況が続いている。また、AIの活用が進みつつも、従来の生成AIでは高度な専門知識が必要な知財業務に十分に対応できていない現状がある。各社の開発リソース不足も課題だ。
NECはこうした課題を背景に、研究開発・新事業開発・知財部門が一体となって蓄積してきた知見や独自AI技術、さらに社内DX推進で得た成果を融合し、本事業の立ち上げに至った。今回発表したSaaS型ツールは、NECが保有する豊富な特許データ(約43,000件)とAI技術、検索拡張生成(RAG)の技術を活用。日米欧約1,250万件以上の特許データに基づき、技術資料や指示を入力するだけで、類似特許や類似度の自動抽出、高精度な文書生成ができる。これにより、先行技術調査、特許性判定、発明提案書や明細書の自動作成など、従来手作業かつ属人的な定型業務の自動化・標準化が可能となる。社内実証ではこれら定型業務の作業時間を最大約94%短縮した実績もある。
さらに、M&Aアドバイザリーの手法と独自アルゴリズムを組み込んだAIを活用し、特許資産の客観的な可視化・評価・分析を実現。これにより、企業の技術や知的財産戦略の上流での意志決定や新規事業創出を強力に支援するとしている。専門コンサルタントによる伴走支援もあり、ツールの定着や知財活動全体の高度化を促進する。
現在、精密機器・総合電機・消費財・素材メーカーなどで実証が進行しており、今後もツールとサービスの拡充を図る。NECは国内外特許事務所とのパートナー連携も強化し、幅広いニーズに対応する予定だ。
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