事業成果に直結、築30年超の満足度がV字回復
野口:測るべき指標は大きく2つあります。1つは「CS(顧客満足度)が上がったか」、もう1つは「各事業からの相互送客による受注が増えたか」です。相互送客という意味では、点検からリフォームへとつながる回数は、前年比で3割近くも伸びてきており、目に見える成果があがっています。
さらに驚くべきは顧客満足度の変化です。住宅の場合、建てた直後が最も満足度が高く、そこから5年、10年、20年と年数が経つにつれて徐々に落ちていくのが一般的です。しかし、去年から築30年を超えたお客様のアンケートを取り始めたところ、10年前の同じお客様群と比較して、満足度が「V字回復」していることが判明したのです。
梶川:年数が経っているにもかかわらず満足度が上がったということですね。
野口:はい。この5年間、「ALL for LONGLIFE」を掲げて接点を持ち続け、お客様に寄り添う活動を地道に続けてきた成果が、まさにデータとして実証されました。初めてデータを取ってみて我々も驚きましたが、間違った方向に進んでいなかったという強い自信になりました。
CSの向上と、紹介やリフォームといった実際の受注は非常に強くリンクしています。この結果を社内にも周知し、「皆さんの行動が確実にお客様の満足と会社の事業につながっている」と粘り強く伝え続けています。
データで予兆を検知へ。変革リーダーへのエール
梶川:これからのさらなる展望と、CX起点での事業変革に挑むBiz/Zine読者へメッセージをお願いします。
中村:IT・データの観点から言えば、築50年のお客様も含めて昔から連綿と持っているデータを、さらに横串で綺麗に見るための基盤づくりを進めています。
その先に目指すのは、多様な事業データを掛け合わせた新しい価値の創出です。たとえば、日々の電気使用量のデータから「家族構成が変わったのではないか」というライフイベントの予兆を検知できれば、最適なタイミングでリフォームや保険見直しの提案ができるようになります。家というプラットフォームは社会とのインターフェースでもあります。ご家族だけでなく、世の中や街のロングライフに寄与していく構想も進めています。
読者の方へは、「仲間作り」の重要性をお伝えしたいです。短期でできるほど簡単な変革ではありませんので、社内に仲間をしっかり作って泥臭くぶつかっていくことが大切です。そして、変化が激しい時代だからこそ「試行錯誤・修正主義」で、一歩進んで下がるくらいの気持ちで取り組んでみてください。

野口:「HEBELIAN NET.」や「LL-Navi」という基盤ができたことで、「どこで接点を持つとレバレッジが効くか」というエビデンスが取れるようになってきました。この示唆を事業側に還元していくことが今後の課題です。
読者の皆様へのメッセージとしては、やはり「お客様を真ん中に置いたときに何ができるか」に尽きると思います。営利目的だけでなく、解決すべき社会課題に対して私たちが持つリソースで何ができるのか。LONGLIFEという旗印のもとでなすべきことを、根気強く社員に伝え、賛同者を増やしていく。それが組織を動かす最大の原動力になるはずです。
梶川:本日は貴重なお話をありがとうございました。
