誰かがコストを負担しなければならない
最良の顧客経験を提供するためのサービスデザインではありますが、現実の世界においては全てのサービスを最高の水準で提供することはコスト的に限界があります。ここでは、『ハーバードビジネススクールが教える顧客サービス戦略』で紹介されている成功するサービスの4つの原則、その中でも特にコスト構造について簡単にご紹介していきましょう(図3)。同書によれば、非常にうまく機能するサービスモデルとそのコスト調達のメカニズムとして4つの類型を挙げています。
- 顧客に快く上乗せ料金を支払ってもらう – プライシングメカニズムを工夫する、特別サービスに対する課金がフェアであることの了解を得るなど(例.ディズニーランドは、サービスごとに追加料金を要求することは少ない。また、特別パスに関しても多くのゲストの了解を得ている)
- コスト削減がサービス向上につながるようにする – フロントラインで完結できるようなサービスを充実させるなど(例.プログレッシブ保険は、事故現場でのサービスを充実させることによって、詐欺や訴訟に関するコストを大幅に削減した)
- サービスの向上がコスト削減につながるようにする – 上質なサービスを提供し、その口コミや評判によって新しい顧客を獲得することによって、マスマーケティングコストを減らすなど(例.ザッポスは、顧客サービスにマーケティング予算の多くを投じ、宣伝や広告といったマスマーケティングに関するコストはほとんどかけていない)
- 顧客に仕事をしてもらう – セルフサービスによる楽しい経験を提供する、顧客とのコクリエーションを促進するなど(例.企業が顧客活動に参加するNike+、顧客が企業活動に参加するNike ID)