データ統合と生成AIで実現する「ハイブリッド型分析レポート」
益田:現在は従来の現場積み上げ数値とAI予測値を並走させており、役員会議や社長説明の場でもAI予測のダッシュボードを提示しています。さらに、生成AIが毎週の数値変動の理由を文章で要約する「ハイブリッド型分析レポート」を自動配信しており、人間が集計作業に時間を取られることなく、「次の一手」のディスカッションに集中できる環境が整いました。
池側:現場や経営層の意思決定のスピードは劇的に変わったのですね。
田中:はい。従来は月1回の頻度で、データ回収から分析・レポート作成までに2週間以上のタイムラグが生じていました。現在は週次で最新のAI予測と分析コメントが自動生成されるため、経営陣は常に鮮度の高いデータをもとに先手の対策を打つことが可能になっています。また、専門的な会計ポリシーや税務の問い合わせ対応についても、自社用にカスタマイズした生成AI(QA Bot)を導入し、社内の問い合わせ業務の効率化と回答精度の均一化を図っています。
課題設定力と提案力を磨く──次世代FP&Aリーダー養成塾の挑戦
池側:テクノロジーによって業務が効率化され、定型的な作業から人間が解放される一方で、FP&Aなどのファイナンスを担う「人材の育成」が次の重要課題になるかと思います。富士通ではどのようなプログラムを実施されていますか。
加勢川:富士通では、FP&Aに必要なスキルを「制度会計」「税務」「トレジャリー」「管理会計」「デジタル」「汎用スキル」の6つに整理し、体系的な育成体制を整えています。その核となる取り組みが、次世代リーダー候補を集めた「未来創造型Extended FP&A(xP&A)リーダー養成塾」です。
池側:単なるスキル研修ではなく、「未来創造型」と冠している点が非常に特徴的ですね。
加勢川:はい。単にデータを集計・分析するだけの「データ分析屋」ではなく、「何が真の課題なのか」を見極める課題設定力と、事業トップに対して主体的に変革を働きかける提案(Shall)の力を養うことを重視しています。講義や議論だけでなく、フィールドワークなどを通じてリーダーシップを磨き、受講者が自ら策定した事業変革案を担当の事業部長へ直接プレゼンテーションする実践的なカリキュラムになっています。
田中:人材の流動性という意味でも大きな変化が起きています。かつては「SEから経理というキャリアは珍しく、異動後の未来はない」と思われていた(笑)時代もありましたが、私や現・ファイナンス戦略室長のようにITや現場のバックグラウンドを持つ人間が財務経理部門へ参画し、DXを主導しています。ポスティング制度を通じて、事業側から「FP&Aをやりたい」と手を挙げて異動してくる若手も増えています。



