ファイナンス部門の組織カルチャー変革とキャリアパスの多様化
池側:育成プログラムの充実やAI活用によって、社員のマインドセットやキャリアに対する意識にも変化が出ているのでしょうか。
加勢川:非常に大きくポジティブな変化を感じています。財務経理部門の内部アンケートでも、7〜8割のメンバーが自らの変革やDXの取り組みに対して「前向き」であると回答しています。従来の「正確に数値を集計・管理する」という守りのイメージから、事業部門の成長に直接貢献できる「攻めのパートナー」としての魅力度が向上したことで、若手社員の離職率が低下しました。さらに一度他部署や他社へ出た人材が、再びファイナンス部門へ戻ってくるケースも出始めています。
鈴木:オペレーションを担うチームでも、「AIに仕事を奪われる」というネガティブな捉え方ではなく、「人間がやる必要のない手作業をAIに任せ、自分たちは高度な分析や業務改善などの創造的な仕事にステップアップできる」という前向きな意識改革が進んでいます。
非財務指標と財務のリンケージ──AI時代に人が果たすべき新たな価値とは
池側:最後に、AI時代におけるファイナンス部門の未来像と、富士通が目指す今後のビジョンについてお聞かせください。
益田:AIが進化すればするほど、過去のデータ処理や定型的なガバナンスチェックはAIが自動で担ってくれるようになります。だからこそ、人間には「AIが出した数字をどう解釈し、どう事業に命を吹き込むか」という高度な判断とコミュニケーションが残ります。
また、私たちは今、給与水準の向上や生成AIの全社導入などをはじめとする「非財務(サステナビリティ)の取り組み」が、売上や営業利益(財務)へどのように貢献しているかを解明する取り組みを推進しています。因果関係をAIで解き明かし、非財務指標を管理KPIとして経営に取り込んでいくつもりです。
池側:ファイナンス部門が、まさに会社の企業価値全体をデザインする存在へ進化していくわけですね。
益田:そのとおりです。データとAIを武器にして現場の自律性を引き出し、ファイナンスを「次世代の経営幹部を育てる登竜門」にしていきたい。自ら変革を実践してきたカスタマーゼロとしての経験を強みに、日本企業の経営管理のあり方そのものをアップデートする存在を目指していきます。
池側:伝統的な大企業のイメージを180度覆す、非常にエキサイティングな変革のお話をありがとうございました。



