NVIDIAフアンCEOが語る、AI技術活用とソブリン性確保の重要性
フィジカルAIの適用領域が拡大し、複数のロボットや他の設備との連携が複雑化するにつれて、サイバー攻撃やシステム全体のダウン、機密情報の漏洩といったリスクが必然的に高まる。この課題に対し、富士通はソブリン性を確保した協調制御基盤の開発を推進している。各社が持つAI、ロボティクス、制御、シミュレーション、データ分析などの先端技術を統合し、セキュリティと信頼性を担保しながら様々な設備間の連携を容易にするソフトウェアプラットフォームを構築する。この基盤は特定の企業に閉じることなく、賛同企業とともにオープンプラットフォームとして提供され、産業界全体で安全なフィジカルAIの実装を推進する土台となる。
この協調制御基盤の高度化において、中核的な役割を果たすのがNVIDIAの提供するフルスタックのフィジカルAIプラットフォームである。富士通は、社会物理シミュレーションの構成要素として「NVIDIA Cosmos」世界基盤モデルを活用し、現場全体の理解と予測能力を強化する。さらに、「NVIDIA Omniverse」や「NVIDIA Isaac」オープンプラットフォーム、「Newton」物理エンジンなどのライブラリ群を導入することで、仮想空間と現実空間をつなぐSim2Realの精度を高める。これにより、ロボットの学習から検証、最適化に至るプロセスを大幅に効率化する計画だという。
NVIDIA 創業者/CEOのJensen Huang(ジェンスン フアン)氏は、日本のメカトロニクス技術が機械、電子、制御を極めて高い次元で融合させた世界最高水準のものであると評価した。ファナックのサーボモーターはDNAの鎖よりも小さい1ナノメートル単位の位置決め制御を行い、安川電機のエンコーダは6,700万パルス/回転という精度を誇り、川崎重工業のロボットアームは100分の1ミリメートルの精度を誇ると、登壇各社の技術を例に挙げ、卓越した物理的制御技術にAIを掛け合わせることの意義を強調した。従来の大規模な産業用ロボットは、環境やタスクが変わるたびに手動での再プログラミングが必要であり、多くの中小企業にとって導入の壁となっていたが、フィジカルAIの導入によって数分で新しい環境に適応できるようになるという。
会見では、国家や企業がAI技術を外部に依存するリスクに関連して、ソブリンAIの価値についても語られた。フアン氏は、AIモデルやデータの基盤技術がオープンに提供されている現状に触れつつも、「いかなる企業や国家も自らの知能を外部に委託すべきではない。日本の知能は日本の根本的な知的財産である」と明言した。オープンモデルから学習を始めた後は、その知識を国内で育成し、自らの手で保持して適応させていくことこそがソブリンAIの真髄であり、日本企業が自律性を保ちながら競争力を維持するための要件であると説いた。
