フィジカルAI社会実装に向けた新基盤開発
記者会見で検討を発表されたフィジカルAIの事業は、これまで人間が担ってきた作業の単なる置き換えではなく、ロボットがいかに人間と同じ空間で協調していけるかを実装の大前提としており、デジタルとフィジカルをつなぐ新たな協調制御基盤の開発を推進することを目的としている。
近年、製造業をはじめとする様々な産業分野において、少子高齢化にともなう労働力不足や熟練技術者の減少、グローバル競争の激化といった課題が顕在化している。これらの課題を解決し、企業が持続的な成長を実現するためには、DXの推進が不可欠である。特に、現実世界の情報をAIが認識および分析し、物理的な行動として実行するフィジカルAIへの期待が高まっている。フィジカルAIは、ロボットや各種設備が状況を把握し、最適な動作を自律的に判断して実行することで、作業の自動化や生産性の向上、品質の安定化を可能にする技術として注目されている。
今回の協業において、富士通はプロジェクト全体のリード役を担う。同社は、各業務のアプリケーションとロボットの制御技術をシームレスに連携させる協調制御タスク計画基盤を、NVIDIAの技術を取り入れながら構築していく方針を示した。この基盤により、ロボットが業務プロセス全体で最適化された計画に沿って自律的に動作するようになり、各現場での大幅な生産性向上が可能となる。時田氏は、この基盤を同社が提供する「Fujitsu Kozuchi」のフィジカルOSとして位置づけ、賛同する企業や研究機関にオープンプラットフォームとして提供することで、社会のあらゆる領域へフィジカルAIを実装していくと述べた。
具体的な開発および実装のタイムラインについても言及された。富士通はまず、2026年9月末より、同社のAIサーバーやスーパーコンピューターを製造する拠点である石川県かほく市の工場において、社内での実装テストを開始する。そこでのフィードバックをもとに、2026年内にはバージョン1となるプラットフォームを提携各社へ展開する計画である。さらに翌年には改善を加えたバージョン2をリリースするなど、継続的なアップデートをともなう成長型のプラットフォームとしてロードマップを描いており、実務に根ざした段階的な事業展開が予定されている。
