「恩送り」のつもりで、次につなげる
島村:私は32年くらい化学品事業にいたのですが、そのうち黒字商品を担当したのは6年くらいしかないんです。40代前半には年間60億円の赤字を出していた事業を任せてもらいました。ただ、そんな赤字の事業にいると、その事業が売却されるという噂が社外から聞こえてくるんですね。社内からは聞いていなくても、これだけ業績が悪いから売却の判断をするというのは間違ったことではないなと冷静に思うわけです。
けれど、「まてよ、自分は本当に全部の可能性をチェックしたのだろうか。どうせ売られるんだったら、すべての前提条件を取っ払って考えてみたらどうだろう」と思ったんです。そして前提条件を取っ払って別の方向に舵を切ったら、道が拓けたという経験をしました。相当エネルギーを使いましたし、当時は辛かったですけれど、こういう経験をすると未来に目が向くようになりますよね。