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d.schoolの教科書は「ジレンマ」ではなく「解」

『イノベーションへの解(原題:innovator’s solution)』

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2種類の破壊的イノベーション

 実際に顧客の用事を片付ける際には、2つのケースを考えたい。1つが、他の企業の製品・サービスを利用して用事を片付けている場合。もう1つがまったく片付けられていない場合だ。前者に対する破壊的イノベーションはローエンド型破壊、後者は新市場型破壊と呼ばれている。

ローエンド型破壊

Amazon ▲書店にローエンド型破壊をもたらしたAmazon Amazonは地域の書店に対してローエンド型の破壊的イノベーションを起こした。「本を手に入れる」という用事は書店に行くことで片付けられる。しかし、物理的な制約により小さな書店では在庫がない場合もある。注文しても、取次のシステム上、到着に2から4週間ほどかかる。

 そのような状況でAmazonを「雇う」なら、最短でその日のうちに希望の本が届く。本屋に行くための移動コストも一切不要だ。本が手に届くスピードという点のみで考えれば、地方のスペースが狭い書店はどう転んでもAmazonには勝てない。

新市場型破壊

 もう1つの破壊的イノベーションである新市場型破壊は、顧客が製品やサービスを利用していない無消費の状態が前提となる。たとえば、インスタグラムが登場する前から、一眼レフは存在していた。つまり「プロ並みの綺麗な写真を撮影する」という用事を片付けるなら、一眼レフを雇えばよかった。

 しかし、高すぎるため一般的に若年層は一眼レフを購入していない無消費の状態だった。そのようななかインスタグラムが登場した。一眼レフほど綺麗な撮影は望めないが、「綺麗な写真を1枚も撮影できない状態」から「綺麗な写真を好きなだけ撮れる状態」に一気にシフトできる。インスタグラムの利用は無料であるし、手軽に「おしゃれに見える写真」を撮影することができた。一眼レフの製造業者からすれば「性能的に劣る」内容であっても、写真撮影だけのために多額のお金を払いたくない顧客にとっては、極めて魅力的なサービスなのだ。

 以上、『イノベーションへの解』で紹介されているエッセンスを簡単に紹介した。全10章から本書は構成されており、1章ごとに刺激的な理論や考え方が記載されている。イノベーション実現の可能性を高めるためにも、さまざまな状況で活用可能な道具を揃えておきたい。本書を読んで、是非さまざまな道具を手にして欲しい。

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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