日本文化にある“曖昧性”を反省し過ぎない。それは強みになる
増村:日本の大企業はそういう「顔の見える」とか「手触り感」みたいな事業はあまり得意ではありませんよね。
安西:ベルガンティは、「あなたが新婚のときに妻へあげたプレゼントを、10年後も20年後も同じものをあげるのはやめなさい。人は日々変わるものだから、その行動や表情をよく観察し、今、彼女が自分では気がついていないけど所有したら、生涯大切に思ってくれるようなものをあげなさい」と言っています。それは、意味のイノベーションにおいて「ギフトを作る」ということですが、たくさんのオプションは必要ありません。一つでいいから、その人が本当に愛してくれるものを作ろう、ということです。そこにはもちろん、途中の段階での論理思考やマーケティングも重要ですが、最初に直感的な審美性を含んだ判断が重要なのです。