インタビュー Innovation Works File

テーラーメイド ゴルフの責任者が語る、店舗でのデータ活用──なぜ現場と本部の意識に変化が起きたのか?

ゲスト:テーラーメイド ゴルフ株式会社 大野道郎氏、吉田伊織氏

 ゴルフ用品やスポーツウェアなどの開発、製造、販売を手がける「テーラーメイド ゴルフ」。革新的な商品を次々と生み出し、プロ・アマ問わず多くのゴルファーから厚く支持を集めてきた。2019年に創立40周年を迎え、さらなる発展を目指すなかで、データ活用を必須と考え、Domoのビジネスインテリジェンス(BI)ソリューションを導入。データドリブン組織を目指し、精力的な活動が続いているという。同社でオンオフのダイレクトコンシューマ向けリテール部門を管轄する大野道郎氏、情報システム部ビジネスアナリストの吉田伊織氏に、これまでの課題や解決までの経緯、そして今後の展望について伺った。

[公開日]

[語り手] 大野 道郎 吉田 伊織 [取材・構成] 伊藤 真美 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] データテクノロジー 事業開発 企業戦略 DX RetailTech

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“まとめる”ことが目的のレポート作成から、“活用する”ためのデータ閲覧へ

──まず、テーラーメイドゴルフの事業概要と、これまで感じられていた経営課題についてお聞かせください。

テーラーメイド ゴルフ株式会社 リテール統括部長 大野道郎氏(以下、敬称略):テーラーメイドゴルフは米国に本社を置き、その日本法人リテール部門として銀座に旗艦店を構え、定価とアウトレット品のハイブリッド店を3店舗、そしてアウトレットショップを18店舗展開しています。さらにオンラインストアがブランドサイトとつながった本店と呼ばれる店舗と、Yahoo!JAPANと楽天に1店舗ずつ開設しています。

 かつては富裕層向けのスポーツとされてきたゴルフですが、近年は人気の裾野も広がり、ゴルフ用品に対するニーズも多様化してきました。残念ながら少子高齢化もあって若年男性のゴルフ参入は減少傾向にあるのですが、一方でアクティブシニア層や女性層がゴルフに親しむ人が増え、市場としては拡大傾向にあります。それに伴い、当社でも順調に業績を拡大し、雇用においても多彩なユーザーニーズに応えるべく、社員やパート、アルバイトなど多彩な勤務形態のスタッフが同じ店に立ち、近年では顧客層に合わせてシニアスタッフや女性、インバウンド対応で外国人の採用も積極的に行なってきました。

 そうした状況下で、やはり全店、全社で情報共有をすることが望ましいと思うのですが、店舗での売上や売れ筋、顧客情報などの情報をまとめる資料作りに時間がかかっており、迅速な情報共有ができないことが大きな課題となっていました。きれいな資料を作って満足してしまい、共有し、活用するというところまでなかなか至らなかったのです。

大野道朗テーラーメイド ゴルフ株式会社 リテール統括部長 大野 道郎氏

──具体的に資料作成はどのように行なわれ、どのような問題があったのですか。

大野:まず、「遅いこと」が問題でした。先週のデータを今週作成し、それを共有するのは2週間後という状況でしたから……。様々な商機を逃していたと思います。そして、ツールやフォーマットが決まっていなかったこともあり、「属人的」であったことも大きな課題でしたね。基幹システムやPOSからデータを取ってきたらExcelに取り込んで、それを個人的な感覚でグラフ化し、切り貼りするというまさに手作業でした。細かい部分でいえば、単位や基準も違っていたのです。

テーラーメイド ゴルフ株式会社 情報システム部 ビジネスアナリスト 吉田 伊織氏(以下、敬称略):情報共有どころか、そもそも店舗で自店のデータを見ることすら一仕事でした。たとえば、売上に対してどのくらいの客単価となっているのかを確認しようと思ったら、レジからジャーナル(レシート)を全部出して、電卓で計算しなければならず…。最新の情報を取るためとはいえ、特に忙しい時期や時間帯はやりたくてもやれない状況にありました。逆に週明けにレポートを出すために、忙しい週末に店長がバックヤードで作業せざるを得なかったり、遅くまで残業したり、現場にも大きな負担になっていたんです。

吉田伊織テーラーメイド ゴルフ株式会社 情報システム部 ビジネスアナリスト 吉田 伊織氏

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