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“生成AI時代”の経営・人事戦略

なぜ人の「エンゲージメント」が生成AIの力を最大まで引き出すのか?AI時代に必要な組織風土と働き方

第4回

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生成AIと「従業員エンゲージメント」の意外な関係性

 ChatGPTなどの生成AIは、人間が作り出す情報やデータを学習し、それを基に新しい情報やアウトプットを生成します。文章を書く、絵を描く、音楽を作る、コードを生成するなど、すでに創造性が求められるタスクにおいて活用され始めています。

 ただ、特筆すべきは、生成AIの活用は個々の仕事の柔軟性と創造性に大いに依存するという点です。生成AIが本領を発揮するためには、その使用者が自身の仕事を広げ、創造的な活用方法を模索する必要があるでしょう。

 こうした考え方や姿勢を維持する上では、積極的な仕事へのスタンスや理解が不可欠となります。ここで、生成AIと「従業員エンゲージメント」の概念との結びつきが生まれます。私自身、様々な企業での生成AI活用の先行事例を見ていますが、エンゲージメントの高低が生成AI活用の可能性を大きく左右しているのではないかと思わされることが多くあります。

 エンゲージメントの概念は、「人的資本経営」の潮流の中で広く着目されるようになりました。従業員が仕事に対して肯定的な思考や態度を持つことで、生産性や創造性が向上するという認識の下、生まれた概念です。近年では、多くの企業で行われている従業員サーベイの一部としてエンゲージメントが導入され、それが組織の生産性や従業員の満足度にどれほど影響を及ぼすかを測定する手段となりました。

 生成AIの活用においては、使用者がその機能に深く関与し、創造的に使用することが必要であり、それはまさにエンゲージメントが示唆する従業員・労働のあり方と一致します。エンゲージメントが高まると、労働者は自身の仕事に対する所有感と満足感を感じ、その結果として創造性が向上しやすくなります。

 また、エンゲージメントが高い従業員は、新たな技術を積極的に採用し、創造的な方法で活用する能力を備えている場合が多いです。つまり、エンゲージメントの高さが、生成AIの可能性を最大限に引き出すのです。

 このように、生成AIとエンゲージメントは、未来の労働形態を形成する上で、深いシナジーを生み出す関係にあると言えるのではないでしょうか。AIによる自動化が仕事を奪うという「恐怖」と、仕事に対する人間性の復帰を示唆する「エンゲージメント」という2つの要素が、実は相互に補完し合い、新たな働き方を生み出す可能性を示唆しているのです。

 では、具体的にどのような形で生成AIとエンゲージメントが交錯するのか、具体例を挙げて考察します。

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この記事の著者

松井 勇策(マツイ ユウサク)

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