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人間が主役のデータインフォームド経営とは

データ活用に必要な「駆動輪」と「操舵輪」という利き手──ビジネスとデータをつなぐ人材とその役割とは?

第2回

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 前回は、データインフォームドという用語に関する、基本的な考え方をご紹介しました。今回は、それを実現する際の具体的な業務プロセスについて解説していきます。ポイントはデータとビジネスをいかに、ビジネス人材側が接続するかのというお話です。

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データを扱う「駆動輪」とビジネスを扱う「操舵輪」という両利き

 今回は、データインフォームドを実現する前提として、「データ活用をうまく進めるための2つの役割」をご説明するところから始めさせていただきます。その2つの役割とは「駆動輪」と「操舵輪」です。

データ活用に必要な二つの能力
出典:田中耕比古『仮説とデータをつなぐ思考法 DATA INFORMED』(SBクリエイティブ)を参照

 データを用いて考える、データを活用する。そういう言葉を耳にしたとき、人は真っ先に「データを上手く取り扱う技術」のことを思い浮かべます。当然ながら、データを扱うことができなければ、データに触れることができず、データから判断材料となる情報をつくりだすことができません。

 その一方で、いくらデータを上手に、そして素早く加工することができたとしても、それだけでは「データを活用できている」ということにはなりません。いくらボールを投げるのが上手くても、野球ができるとは言えません。キック力が強くても、サッカーができるとは言えません。その時々の状況に応じて求められる役割を理解し、点を取るとか、しっかり守るとかいった、適切な行動を取ることがもとめられます。

 データを扱う技術は、スポーツでいうところの、ボールをうまく投げることができる、強くボールをけることができる、速く走ることができる、といった能力に似ています。それがなければ困るけれど、それだけあれば良いというわけではない。そういう能力です。

 そこで必要になるのが「データをビジネスのために使う技術」です。これを分解すると、「目的設定能力」と「データの解釈能力」となります。

 まず「目的設定能力」ですが、データ活用の目的を設定し、その目的のためにどのようにデータを活用するかを考えることが重要です。これを怠ると、どれだけデータを加工しても全く意味がありません。

 そして「データの解釈能力」ですが、データを加工して作成されたアウトプットの内容を理解し、そこから得られる示唆を導き出すことも必要です。そうしなければ、データ分析を「やっただけ」で終わってしまいます。

 つまり、データを扱う手前と後ろに「ビジネスとデータをつなぐ役割」が求められているのです。

 こうした役割を、私は「操舵輪」と呼んでいます。ハンドルを切って方向を決める役割です。データを扱う力は「駆動輪」です。車を前に進めるための動力源です。

 駆動輪が無ければ、推進力がありませんので、物事は前に進みません。しかし、駆動輪だけでは行きたい方向に進むことができませんし、場合によっては壁に激突したり、崖から下に落ちたりしてしまいます。

 駆動輪と操舵輪の2つが合わさって初めて、データ活用が成功するのです。

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この記事の著者

田中 耕比古(タナカ タガヒコ)

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