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あえて保険は売らない。大同生命の経営者コミュニティ「どうだい?」急成長の裏にある「恩返し」と生存戦略

ゲスト:大同生命保険 長谷部隆氏

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「中小企業への恩返し」が非保険領域の新規事業の原動力

梶川:そもそも、なぜ保険会社が「どうだい?」のような非保険領域に本格的に取り組むことになったのでしょうか。

長谷部:実は、大同生命ではかなり以前から非保険領域のサービス提供を行っており、会社としての抵抗はないのが現状です。当社は創業120年を超えますが、1970年代以降、中小企業市場に特化することで成長してきました。

 そのため、情緒的な側面としては「中小企業への恩返し」という強い想いがあります。ビジネスの観点では、労働人口の減少や環境変化により、今後中小企業数の減少が予測される中、我々のお客様である「中小企業という市場自体を守っていく」という生存戦略としての意味合いを持っています。

梶川:なるほど。とはいえ、コミュニティ運営という毛色の違うサービスを生み出すプロセスで、社内のリアクションはいかがでしたか。

長谷部:私は開発の直接的な立ち上げには携わっていませんが、経営会議の事務局などを通じて見てきた限り、新しいチャレンジを応援・後押ししてくれる経営陣の方が多かった印象です。普通の生命保険会社であれば個人向けサービスを志向しますが、当社の顧客層は中小企業です。「中小企業のため」と考えた時、そこまで突飛なアイデアではなかったのです。元々挑戦を後押しする風土があるため、応援者も多く、前に進む力になっていると感じます。

梶川:経営者の「孤独」という課題は、現場の営業経験からも感じられていたことですか?

長谷部:はい。営業担当者が現場で感じている肌感覚に加えて、過去に独自で行った「経営者1万人アンケート」でも「相談相手がいない」という結果が如実に表れました。こうしたデータや経験の裏付けがあったからこそ、孤独というペインポイントに着目できたのです。

短期間で会員10万人突破。急成長を支える運営と開発

梶川:「どうだい?」の構想はいつ頃からあったのでしょうか。

長谷部:構想自体は2019年にスタートしました。中小企業は数の上では企業の99%、労働者の7割を占めていますが、単体ではできないことも多い。彼らがつながることで大きな成長を生み出せるのではないか、という発想です。その後、コロナ禍でリアルな出会いの場が失われたことが後押しとなり、2022年3月にリリースへと至りました。

梶川:立ち上げから短期間で会員数10万人を突破されましたが、その要因はどこにあると分析されていますか。

長谷部:一番の要素は、「中小企業経営者に特化したオンラインコミュニティ」というコンセプトそのものが刺さったことだと思っています。小人数が集まるサロンなどは存在していますが、10万人が集まる「どうだい?」は50年以中小企業とお付き合いしてきた大同生命だからこそ作れた独自の立ち位置です。ブレイクスルー的な劇的な増加というより、全国の営業職員が足を使って地道にご案内を続け、着実に一直線で伸びてきました。

梶川:最初はSNSに馴染みのない経営者層へのご案内は苦労されたのではないでしょうか。

長谷部:おっしゃるとおりです。普段SNSを使い慣れていない40代〜60代の経営者が中心のため、「オンラインコミュニティで何ができるのか」を伝えるのにはハードルがありました。キャラクターの「どうだいくん」についても最初はネガティブな声も多少ありましたが、今では皆様の机に飾っていただくなど、愛されるアイコンになっています。

「どうだい?」のキャラクター「どうだいくん」
「どうだい?」のキャラクター「どうだいくん」

梶川:コミュニティを活性化するために、どのような工夫をされていますか?

長谷部:オンラインでは、ハウツー記事や47都道府県のユニークな経営者の取り組みを発信したり、コアユーザーのモチベーションを高める「サンキューバッジ」や「サポーター制度」を導入しています。

 また、オフラインのリアル交流会も全国各地で地道に開催しており、ユーザーさんが独自で横のつながりを作り、自発的な交流会が生まれるといった波及効果も出てきています。

梶川:大同生命ならではの目線で作られたコンテンツが、オン・オフ両面での熱量を生んでいるのですね。開発体制も特徴的だと伺いました。

長谷部:はい。通常の保険商品はウォーターフォール型でじっくり作りますが、「どうだい?」はアジャイル開発を取り入れています。月に1回は必ず何かしらのUI変更やリリースを行い、経営者の方のご意見をいただきながら改善を繰り返しています。

 外部のコンサルティング会社やウェブ開発会社など、多くのパートナー企業と協業していますが、単なる「委託」ではなく、当社の「中小企業のためならなんでもやる」という文化を深く理解していただき、全体会議にも参加していただくなど、一体となって価値観を共有しながら進めています。

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保険は売らない。だからこそ本業に生きる「顧客理解」

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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