2026年6月9日、EYは「EY-Parthenon CEO Outlook調査 2026年5月期」の結果を発表した。本調査は、世界21カ国・地域の大手企業のCEO 1,200人を対象に実施され、現状および将来に対するCEOの意識や戦略を分析したものである。
調査によれば、地政学リスクと世界的なマクロ経済の不確実性を背景に、CEOたちは収益性とレジリエンスの確保を最重要課題としている。地政学的要因が企業経営へ与える影響が顕著であり、CEOの56%が今後12カ月での最も重大なリスクとして地政学を挙げた。これは2025年9月比で28ポイント増の結果となった。また、46%のCEOがエネルギー価格の高騰を大きな逆風と認識している。
一方で、CEOは危機対応として事業縮小ではなく、投資先の厳選と業務の選択と集中を進めている。82%は短期的な市場拡大よりも、持続的な長期成長や収益性の確保を優先する姿勢を示した。テクノロジーによる生産性向上、デジタル・AI 投資の強化も現実的な対応策となっている。
AIについては、企業全体での価値創出への移行が進んでいる。2026年にはCEOの80%がAI投資の拡大を計画し、実際に48%はAI・テクノロジー関連ケイパビリティのためのM&Aや事業売却を重視している。AIの主な活用領域は顧客価値の創出(42%)、イノベーション(40%)、オペレーション(41%)、戦略(41%)など多岐にわたり、経営の中心的テーマとなっている。
しかし、AI活用拡大には課題も見られる。CEOの30%が規制対応の負担や業務の複雑性を、38%が断片的な規制やその見直しが障壁であると考えている。また、人材面ではAI・データ分野のスキル不足やリーダーシップ不在が課題として認識されている。CEOの20%がこれらの人材課題を指摘している。
AI時代における雇用観も変化している。99%のCEOが今後3年でAIがワークフォース戦略に影響を与えるとする一方、AIで採用が減ると考える割合は20%に留まり、生産性向上や付加価値創出に向けたリスキリングや役割再設計に比重が移っている。
M&Aも、短期的な拡大ではなく長期的成長戦略との一貫性やAIケイパビリティ強化を目的としたものへとシフトしている。今後12カ月でM&Aを予定するCEOの89%が投資意欲の高まりを示しており、主な対象地域は米国、インド、英国、カナダ、ドイツなどとなっている。2026年にはM&A(62%)をはじめ、戦略的アライアンス(57%)、合弁事業(45%)、事業売却(42%)など幅広いディール戦略が選択されている。
今回の調査結果は、成長投資の重点化とリスクへの備えを強めるCEOの現状を示している。今後、地政学リスクへの対応とAIを活用した事業変革、戦略的パートナーシップの推進が、多くの企業経営層にとって最優先課題となるだろう。
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