ログラスは2026年8月17日、「上場企業のIR部門における業務実態調査:1on1編」の結果を発表した。本調査は、上場企業IR担当者300名を対象に実施し、投資家・アナリストとの個別面談(1on1)と周辺業務の現状について数値化したものである。

調査によれば、上場企業IR部門での1on1面談件数は増加傾向にあり、回答者の51.9%が「過去1年で面談が増加した」と答えた。平均年間面談件数は357件にのぼる。特にプライム市場区分の担当者では59.7%が面談増を実感し、スタンダード区分では「変わらない」が45.5%と、市場によって増加度合いに差がみられる。
面談自体に加え、準備・議事録作成・Q&A整理など周辺業務にかかる時間は1件あたり平均1.66時間に達する。全体の年間平均件数を掛け合わせると、年間約593時間(営業日換算で約74日分)となる試算だ。過半数が1件につき1時間以上を周辺業務に費やし、「見えない業務」への負担が顕著となっている。
こうした状況下で、85.6%の回答者が面談の記録・Q&A整理業務に何らかの課題を抱えている。なかでも「AI・音声認識の精度不足による手直し」(52.9%)、「担当者による記録の質のばらつき」、「データの検索性の低さ」等、記録の整備と効率化に関する問題点が多数挙げられている。
実際の運用状況を見ると、アナログ~半アナログ的な手法(完全手動、音声のみ、書き起こし+大幅修正)が71.0%を占め、専用システムやAIソリューション導入率は14.3%にとどまった。また、投資家から過去発言の矛盾を指摘された場合、「即時照合が困難」と回答した割合が25.7%、「当時の担当者確認が必要」が19.7%と、属人的な管理体制の課題が浮き彫りとなった。
対話データの経営活用という点では、57.7%が「活用できている」とする一方で37.4%は「どちらともいえない」「活用できていない」と回答。経営陣への報告も重要コメントを抽出した「定性レポート」が51.3%と主流であり、定量的・体系的な活用への移行が課題とされている。
AI・デジタルテクノロジーへの期待値としては「過去記録の資産化・属人化解消」が最も高く、全体の63.3%、実際に面談業務を担う担当者に限ると73.1%にのぼる。現場では効率化のみならず、対話データを構造化し組織の資産として蓄積・活用することへの関心が一層高まっている。
IR活動の重要性が増す一方で実務負荷とのねじれが生じており、今後は記録作業の効率化とデータの資産化が鍵となる。AIを駆使した効率化や情報蓄積の仕組みが、担当者の戦略的業務へのシフトを後押しすると見られる。
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