「なぜ起きた?」から「どう変える?」へ。経営企画の醍醐味
ここまで見てきた「処理」と「分析」は、経営企画に欠かせない土台です。その先のレベル3と4へ進むと、仕事はぐっと創造的になります。
■レベル3:計測の前提の再設計
業績への影響が大きい、あるいは長く続く課題を、仕組みから解決する段階です。たとえば、「第3回」で取り上げた原価管理。製品Aは、製品Bより手間がかかるにもかかわらず、原価が低く算出されているなら、今の計算方法を疑い、自社の実態に合った仕組みへ変えていきます。
私が最近手がけた受注予測も一例です。以前は商談数と受注率だけを追っていましたが、どちらも変動が大きく、その理由がわからないため、どう手を打てばよいのかも見えませんでした。そこで、商談を自社・パートナーのインサイドセールス、デジタルマーケティングなどの流入経路別に管理。それぞれの商談化率と受注率を見ることで、以前よりも精度の高い受注予測を立てられるようになりました。
「分析」が「なぜ起きたのか」を探る仕事なら、「設計」は「どう変えるか」をデザインする仕事です。ここから、経営企画ならではの楽しさが見えてきます。
■レベル4:戦略立案/意思決定の支援
個別の業務や部門・事業の仕組みを変える「設計」から一歩進んで、会社全体の方向性を考えるのが「戦略立案」です。
既存事業へ投資を続けるのか、新規事業へ参入するのか、不採算事業から撤退するのか。限られた人材や予算をどこへ振り分けるのか。こうしたテーマについて選択肢を考え、経営陣へ判断材料を示します。経営陣の視点に立って、会社の進む方向を考え、動かしていく。ここに、経営企画の醍醐味があるのです。
経営企画は、経営陣と同じ景色を見る仕事
「経営陣の視点で会社を動かすなんて、さすがに大げさでは?」と思う人もいるでしょう。しかし、会社が大きくなる過程をたどると、決して大げさではないことがわかります。
「第1回」で見たとおり、創業期には経営陣が営業も開発も管理も担いますが、会社の成長とともに、それぞれの役割を各部門や事業部へ任せていきます。会社全体の方向を考える役割は、最後まで経営陣が持ち続けますが、やがてそれも難しくなっていきます。その一部を支えるため経営企画は生まれます。
役割を任せるとは、「作業」だけでなく「考える」プロセスも任せるということです。私は、マネージャーになってからもすべてを考え続けた結果、自ら部署の足を引っ張ることになりました。そこで、メンバーに「考える」ことを任せ、自分は「決める」ことに集中したところ、私がすべてを考えていた頃より仕事の効率も精度も上がり、より多くの仕事を進められるようになったのです。
経営陣と経営企画の関係も同じです。組織が大きくなるほど、経営陣だけですべての情報を整理し、課題を掘り下げ、選択肢を検討することは難しくなります。そこで経営企画がそのプロセスを支え、経営陣がよりよい意思決定をできる状態をつくります。
だからこそ、経営企画は数字を整えて予実を報告するだけでは足りません。経営陣と同じ視点に立って会社全体を見ながら、何をどうすべきかを考え、判断材料を示す。そうした“外部脳”のような働きが求められているのです(もちろん、経営企画の役割や守備範囲は会社によって異なります )。



