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インハウスデザイン部門リーダーによるトークセッションで語られた、デザイナーに必要な「渇望感」とは

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YAMAHAの哲学が生み出す「普遍的なデザイン理念」、ブランドの物語を紡ぐ「デザインの役割」

川田 学(左からお二人目)YAMAHA株式会社 参与 ブランド戦略本部デザイン研究所 所長 川田 学氏

 プレゼンテーション1人目は、YAMAHA株式会社 参与 ブランド戦略本部デザイン研究所 所長の川田 学氏。楽器は歴史が古いものが多く、長期間仕様が変わらないものも少なくない。さらに専業楽器メーカーが多い中で、多種多様な楽器を取り扱うYAMAHAのような組織は珍しいという。

 そのYAMAHAのデザインを担うブランド戦略本部デザイン研究所は、国内30名、ロンドンなど海外に4名のデザイナーを擁し、英語を公用語とするグローバル&少数精鋭による組織だ。年間300アイテムというデザインは、1人が企画段階から最後のパッケージや広告まで担当するスタイルで、必然的に職能も造形スタイリング、インタラクション、操作系アプリケーションやロゴデザイン、建築空間に至るまで幅広い。

 プロ用と家庭用の2つに分かれたプロダクトデザイングループのほか、2000年に立ち上がったアドバンスドデザイングループではリサーチと発信を同時並行して担っている。またコミュニケーションデザイングループという部門では“伝え方”をデザインし、最も新しい部門であるビジネスフロンティアグループは“現場でデザインする”という実験的な取り組みを行なっており、徐々にその成果が出てきたところだという。

 組織がそれぞれ明確な役割を持つものの、デザイン自体は個人技に負うところが多い。そこで100周年の1987年に価値観を深く共有することを目的として「デザイン理念」制定し、31年間変わらず使い続けてきた。

 川田氏は「本質をおさえながら革新的で、美しくありながらでしゃばりすぎず、社会的責任を果たすデザインとは何か、製品を通じて感じてもらえるはず」と語る。そして「そもそも音楽とは何か」という問いを常に持ち続けているという。

 そうした様々な思索や試行錯誤があっての結晶として、ヤマハ カジュアル管楽器「Venova(ヴェノーヴァ)」のデザインが紹介された。

 川田氏は「今、グローバルに存在意義のあるブランドになるためには、デザイン部門として個別製品のデザインに磨きをかけるのはもちろんながら、それ以上にブランドアイデンティティに磨きをかけて、自らの物語を紡ぎ語るという、発信力が問われているのではないか」と語った。

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