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NECが100年先を見据えて取り組んだ「NEC Way」の策定──役員合宿を起点とした全社変革

第13回 ゲスト:NEC コーポレートコミュニケーション本部 兼 経営企画本部 浅沼孝治氏(前編)

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12人でスタートしたNECの存在意義の見直し

永井恒男氏(以下、敬称略):NECは2020年4月に、会社としてふるまう姿を示した「Purpose(存在意義)」「Principles(行動原則)」と、社員一人ひとりの価値観・ふるまいを示した「Code of Values(行動基準)」「Code of Conduct(行動規範)」で構成された「NEC Way」を発表されました。NECグループの共通の価値観と行動の原点とのことですが、こちらができた背景を教えていただけますでしょうか。

浅沼孝治氏(以下、敬称略):2020年に改定したNEC Wayは、2008年に策定されたNEC Wayのうち「NECグループビジョン2017」と「NECグループバリュー」を2012年当時の経営陣が腹落ちする内容としてまとめ、「NECの存在意義」を表現した文章を原型としています。

永井:2012年から8年間も温めていたのですね。なぜ2008年と2012年にNEC Wayの原型となるものを考え始めることになったのでしょうか。

浅沼:温めていたというよりも、公表できる準備が整っていなかったということです。2000年代後半から現在に至るまで、NECの大改革を行っておりました。その成果が見えてくるまで、2012年当時に作成したNECの存在意義を公表し、浸透させることはできませんでした。2012年にNECの存在意義を再考したのは、当時の経営陣が背水の陣の思いでNECの将来を考えなければならない状況だったからです。

永井:リーマンショックの影響で、2012年頃の電機メーカーはどこも苦戦していましたよね。

浅沼:そうですね。NECは、1970年代から“C&C(the integration of Computers and Communications:コンピュータと通信の融合)”を掲げ、2000年頃まで上り調子で売上高を毎年伸ばしていました。しかし、オープン化やインターネット技術の登場によって会社を取り巻く状況が一変し、経営戦略の見直しやビジネスモデルの再構築をせざるをえない状況になります。創業以来の伝統的な事業である通信事業や、かつて世界一を誇った半導体事業をはじめとする電子コンポーネント事業といった、NECの一部をなしていた事業の見直しを実施してきたのですが、2008年に発生したリーマンショックが追い討ちをかけたのです。PC98をリリースしてきたパソコン事業やNシリーズの携帯電話事業、インターネットプロバイダー事業など、これまでNECのブランドを支えてきた事業の見直しなど未だかつてないほどの経営判断を迫られる状況でした。

 当時の遠藤信博社長や、新野隆副社長をはじめとした経営陣全員が「自分たちの代で会社を潰してはならない」と感じ、今一度、NECの生きる道(NEC Way)を考えていこうという機運が高まりました。そこで遠藤を中心にした役員12人のチームで「NEC Wayを考える」ことをテーマに議論を進めることにしたのです。

永井:12人というのは役員全員ではないですよね。

浅沼:難しい経営判断を迫られることが多い時期だったこともあり、役員が一枚岩になる必要がありました。そこで、まずはビジネスユニットやスタッフのトップである組織長を中心に、遠藤の経営チームのコアメンバーとなる役員で、役員合宿を始めました。

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この記事の著者

フェリックス清香(フェリックスサヤカ)

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