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経営変革の「思想」と「実装」

一休・榊社長の企業変革の10年──脱アンチ・ユーザーファースト行動、データサイエンスと経営者の両利き

第5回ゲスト:株式会社一休 代表取締役社長 榊淳氏【前編】

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 本連載は、埼玉大学経済経営系大学院 宇田川元一准教授をホストに迎え、既存企業が新規事業やDXなどの新規価値創出を行う際に必要となる経営変革の思想と実装を紐解いていく。今回は、コロナ禍で大打撃を受けた旅行業界のプレイヤーでありながら2020、2021年度共に業績を伸ばした株式会社一休の榊淳氏(代表取締役社長)を迎えた。金融業界とコンサルティング会社を経て一休の経営者となり、伸び悩んでいた同社を再び軌道に乗せた榊氏の変革の思想と実装に迫る。

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コンサルタント時代から“経営者”として関わる

宇田川元一氏(以下、宇田川):私の研究テーマは企業変革ですが、多くの方がイメージする「V字回復」とはフェーズが異なるものを対象としています。というのも、V字回復後にどうやって事業領域を拡大し成長させていくのかという問題がありますし、そもそも「V字回復を目指すほど業績が悪くない」という状況の方が多いわけです。毎年2%ずつ徐々に業績が落ちているとか、5%ずつ成長はしていても戦略のスコープが全く広がらないとか。私が「慢性疾患の状態」と呼んでいるそのような状態をいかに変革していくのか、ということを考えています。

 そのような観点から、榊さんが一休をどのように変革してこられたのか、コロナ禍でも業績を維持できたのはなぜなのか、この先どのような展開を考えておられるのかを、お聞きできたらと思います。

榊淳氏(以下、榊):まず、僕が一休と出会ったのは2012年のことです。私は当時ターンアラウンド(事業再生)を専門とするコンサルティング会社の社員でした。

 一休は2007年に東証一部に上場してからそれまで、取扱高も売上も全く伸びていない状態でした。そして、競争相手が成長していく中でいろいろな投資をし、利益は減少していました。そういう状況で、いきなりターンアラウンドということではなく、診断をしてほしいということでお声掛けがあったのです。

宇田川:会社の状況を診てほしいということですね。

:はい。この会社が成長する兆しがあるのかないのか、あるとしたらどのような可能性があるのかを、6〜8週間程掛けて診断するというのが最初の仕事でした。

 その時は、さまざまなデータを見るのはもちろん、社内の主要なメンバーや顧客であるホテルへのヒアリング、ホテルや顧客へのアンケートもかなりやりました。その結果、僕は「伸びる可能性があります。伸びるとしたらこんな感じです」とご報告をしました。そして「これを私が実行することもできますし、皆さんでやるのでしたら、どうぞそうしてください」という話を、当時の創業社長である森正文さんにしたんです。それから1年ほどプロジェクトを続けた後に、森さんにお声がけいただいて入社することになりました。

 僕自身の仕事は、コンサルタントとしてお手伝いした1年とその後の9年間とでそれほど変わっていません。一休には10年前に入社したという気持ちでいます。

宇田川:変わっていない、とは。

:事業の現状や、オポチュニティとリスクがどこにあるのかを見極めながら、社員の皆さんと一緒に成長させていくということにおいては、やっていることは同じなんです。

宇田川:コンサルティングの際も、経営者と同等の権限を持っていたということですか。

:そういうことです。僕が依頼先企業に一人で来て「期間限定で経営者をやります」という形の仕事が、以前のコンサルティング会社の主な進め方でした。

 宿泊事業については、コンサルティングの初日から人事権と予算の執行権、組織を変える権限など全てをいただいていましたので、そういう意味では経営者そのものでした。世の中の人がコンサルタントに対して持つ「いろいろ分析してアドバイスするんでしょ?」というものとは違っていたんです。

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この記事の著者

やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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