大日本印刷(以下、DNP)は、現実(リアル)の施設などの建築と並行して、建築用のデータを基にバーチャル空間「メタバース」を構築し、両空間の連動による企業と生活者のコミュニケーションなどを支援するサービスを6月に開始する。
DNPは2021年から、リアルとバーチャルの空間を連動して、新しい生活者の体験と経済圏を創出する「XRコミュニケーション事業」を展開。また、バーチャル空間を構築するXRロケーションシステム「PARALLEL SITE(パラレルサイト)」を提供しており、今回その機能を拡充し、メタバースの企画から構築・運用までトータルに支援するという。
同サービスによって、完成前のリアル施設の一足早いバーチャルでの公開と体験、完成後の施設を遠方の顧客や社内外の関係者によるバーチャルの利用など、社員のエンゲージメント向上や顧客とのコミュニケーションの活性化につなげるとしている。
サービスの特徴は以下のとおり。
様々な建築データに基づくメタバースの構築が、最短2ヵ月から可能に
DNPは、建築関連の3次元データに加え、各室の名称・面積、材料・部材の仕様などの属性情報をあわせ持つBuilding Information Modeling(BIM)データやCADデータ、3次元座標値・色情報で構成される「点群データ」など、様々な建築・設計データを基に、最短2ヵ月からメタバースを構築できるという。
最大1,000名まで参加できる大型イベントなどでも活用可能
最大1,000名までメタバースに同時に参加でき、就職説明会のほか、国内外の社員が一堂に会する大型イベントなどに利用可能。また、参加者同士が会話できる音声チャットや画面共有の機能、イベントに合わせたクイズパネルなどの機能も提供する。今後、DNPが開発中の、生活者個人を特定するアイデンティティ情報とアバター情報の管理・認証を可能にする「PARALLEL ME」と同サービスを連動させて、利用者の個別認証も可能にしていく予定だとしている。
メタバースで得られた各種データを分析して、リアル空間と連動した施策に活用
同サービスでは、メタバース参加者の属性や利用回数、コンテンツ視聴回数などを把握・分析可能。メタバース上で関心が高かったコンテンツや体験企画などを参考にして、リアルの施設を活用した企画の設計やマーケティング、各種イベントとの連動が可能になるという。
DNPは今後、オフィスビルや商業施設などを保有する企業や、それらの施設の建設会社・設計事務所・デベロッパーなどに同サービスを提供し、関連サービスを含め、2028年度までに40億円の売上を目指すとのこと。また、メタバース参加者のアバター生成の機能と連動させて、外見・特徴・属性情報などがわかる機能の拡充や、オンライン会議などのコミュニケーションツールとの連携を目指し、オフィスなどで働く社員の円滑なコラボレーションや働き方の変革に貢献していくとしている。