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「問題定義」はイノベーションへの近道

第13回

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イノベーションへの道へ通ずる「問題定義」

 現場調査が終わったあとは、集めた情報を整理・分析しながら、何がもっとも重要な課題なのかを突き詰めていく。以前の連載で紹介したd.schoolのプロセスでいえば、第二ステップの「問題定義」にあたる。

 ここでのポイントは「着眼点(POV:Point of View)」を適切に設定することだ。着眼点とは「どのような視点で問題を捉えるか」を簡潔に表したものである。

 たとえば、ユーザーの満足度が低いレストランのリ・デザインを行おうとした際に「1杯800円のコーヒーは高いかもしれない。価格設定に問題がある」と捉えることもできる。もしくは「800円のコーヒーをゆっくり楽しむための店舗づくりができていない。空間設計に問題がある」と考えることもできる。どう捉えるかによって、解決策の方向性は異なったものになっていく。

 未知の問題を明らかにしていくという意味で、これは「問題発見」のプロセスともいえる。新しい問題は、新しい解決策の創造を呼び起こす。それは、新しい市場を生みだすイノベーションへの道へと通ずる。

 非常に可能性に満ちたプロセスだが、その一方でチームには一定のストレスがかかる。なぜなら、問題そのものを探求する段階であるため「何が正しいのか」が誰にもわからないからだ。

 レストランの例で想定された問題は、すべて解決すべきものかもしれないし、すべて無視すべきものかもしれない。何もわからないのだ。そのような状態で「この着眼点が正しい」と確信は持てない。正解など存在しないのだから、「間違っているかも知れないが、まずはこの着眼点を設定しよう」と曖昧な形で合意する必要がある。

 不安定な状態で合意することもそうだが、合意するための「根拠」自体が曖昧な点もストレスになりうる。

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「確実性よりスピード重視」

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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