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JR西日本がコロナ危機で描いた、鉄道一本足打法からの脱却──現場の暗黙知とデータ活用によるDXとは?

登壇者:西日本旅客鉄道株式会社 喜多岡直孝氏、橋本祐典氏

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進化するグループデジタル戦略、広がるWESTER経済圏

 JR西日本グループは2023年4月より、「人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす」というパーパスを掲げ、移動に限らず幅広い形で社会課題に挑戦し、新たな価値を創出することを目指している。

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 その実現のために取り組んでいる4つの具体的な施策が「デジタル技術によるシナジー創出」「新規事業」「人財」「ネットワーク・セキュリティ」だ。

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 なかでも「デジタル技術によるシナジー創出」においては、物理的な鉄道網や駅周辺の施設、地域社会といったリアルな接点を最大限に活用し、顧客体験と事業構造の進化を推進している。喜多岡氏は「私たちは純粋なデジタル企業ではありません。ショッピングセンターやホテルといったリアルな接点を多く持つことが、最大の強みです」と語る。

 その上で、注目するべきは「WESTER体験」の提供である。これまで同グループはリアルな接点のみを通じて顧客との関係を築いてきたが、現在はWESTERアプリを活用し新しい繋がりを実現しようとしている。「WESTERポイント」を軸としてグループ内の各種サービスを融合すると同時に、1to1マーケティングによる個別化されたサービスの提供にも積極的に挑戦している。

 新たなサービスの創出も進んでいる。現在、同社は「Moving is Value」をコンセプトに掲げ、コード決済サービス「Wesmo!」の導入を進めている。個人間送金やキャッシュレス決済に加え、企業間送金やデジタル給与払いなど、多様な機能を展開することで、社会全体に価値を循環させる仕組みを目指している。もちろん、購買データを活用してさらに顧客体験を向上させるという戦略的な狙いもある。

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 さらに、顧客体験の深化においては、五感に訴えかける体験も重視されている。Wesmo!の開発では、モノタイプやセイタロウデザインなどのパートナー企業と早期から連携し、UXデザインやブランディングを強化し、デジタルとデザイン両面での変革を目指す。

 JR西日本グループの取り組みは、物理的なインフラを持つ企業がDXを進める際の模範となる事例だ。リアルとデジタルを巧みに組み合わせ、顧客体験を深化させるアプローチは、リアルな接点を強みに変え、企業全体の価値を引き上げる戦略として、多くの企業にとって参考となるはずだ。

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高度な専門性を持つ人財の確保と「TRAILBLAZER」の設立

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雨宮 進(アメミヤ ススム)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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