SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

日本企業発・イノベーションへの挑戦者

出島にせず大企業のアセットを活用する──トヨタ自動車発新規事業「WAVEBASE」の成長戦略

ゲスト:トヨタ自動車 山口剛生氏

  • Facebook
  • X
  • Pocket

新規事業開発の“枠組み”作りからスタート

──「WAVEBASE」の事業を立ち上げたきっかけをお聞かせください。

山口:先ほど言及したように、会社として「社内に眠っている技術を世に出したい」という考えがきっかけでした。私自身、研究所時代に取り組んだ技術が世の中に出ることなく4年間を過ごした経験があったので、個人的にもこのモチベーションを共有していたと言えます。

 もしかすると「なぜ研究員から事業開発に」と不思議に思われるかもしれませんが、私としては、それほど違和感がないんですよね。仲の良かった入社同期や、年次の近い先輩方に、身近に会社を飛び出して起業したり、スタートアップへ転職したりする方がいらっしゃいましたし、私も元々主体的に動きたいタイプなので、いつかは事業開発に携わりたいと思っていました。

──事業を立ち上げる際、最初に取り組んだことは何ですか。

山口:新規事業開発の枠組み作りです。当時も社内には、ボトムアップ型の事業創出プログラムはあったのですが、検証フェーズから最終的に事業化するにあたっては、難しさを抱えていました。そこで、事業アイデアを実際に事業として立ち上げるところまで支援できるような仕組みを提案しました。

──その取り組みに対して、社内からはどのような反応がありましたか。

山口:当初は先進技術統括部内でも「なぜ新規事業なのか」と消極的な意見も聞かれましたが、自動車業界が「100年に一度の大変革の時代」に入る中、会社としても単なる自動車会社から「モビリティ・カンパニー」へと変革しようとしていたタイミングだったこともあり、「これまでに培ったノウハウを土台にしつつ、自動車以外の価値を作っていくべきだ」ということに対して当時の上司やカンパニープレジデントが、強力にサポートしてくれました。

 こうして会社の課題意識に紐付けて新規事業開発の枠組みを作り、そのパイロットプロジェクトとして「WAVEBASE」を始動させたからこそ、周囲から応援してもらいながら事業を継続できました。「WAVEBASE」だけを単発で提案していたら、社内からの賛同はここまで得られなかったかもしれません。

次のページ
新規事業はあえて「出島」にしないのがポイント

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
日本企業発・イノベーションへの挑戦者連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

山田 奈緒美(ヤマダ ナオミ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング