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レイ・イナモト氏が語る、AI時代の経営戦略としてのブランド論──「信頼が循環する構造づくり」とは

ゲスト:I&CO 創業パートナー/クリエイティブ・ディレクター レイ・イナモト氏

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AIに代替できない人間固有の「美意識」や「判断」

栗原:生成AIが普及する中で、企業の「透明性」や「美意識」はさらに厳しく問われていますね。

イナモト:AIは「Operation(効率)」や「Creation(基準)」を劇的に高めますが、信頼を勝ち取るのは別の話です。AIによって「何が本物か」がわからない不透明な時代だからこそ、人間固有の「美意識」や「判断の連続」が、AIでは代替できない信頼の源泉になります。

 OpenAI CEOのサム・アルトマンが、元Appleの伝説的デザイナー ジョナサン・アイブ氏のデザインスタジオを巨額で買収しました。その背景には、テクノロジーだけでは勝てない「信頼を買う時代」を見据え、表現の一貫性を競争軸に据える強い意志が窺えます。

 また、AIを安易に効率化などのためだけに使うと反動を食らいます。あるポッドキャスト制作会社が、本人の声をAIに学習させて配信した際、事前に説明していたにも関わらずリスナーから猛烈な拒否反応を受け、即座に撤回しました。ロジックで「安全だ」「効率的だ」と言えても、感情的な信頼を得るには時間がかかるのです。

経営トップから始まる「成長戦略」としてのブランド構築

栗原:最後に、日本企業のリーダーや事業開発担当者へメッセージをお願いします。

イナモト:ユニクロの柳井正会長は本書への推薦コメントで、「ブランドとは企業そのもの、社員そのものであり、経営ブランド視点で捉え直すべき」と示唆してくださいました。ブランド構築は社長から始まらなければなりません。現場が「ブランドが大事だ」と叫んでも、経営層が「マーケティング部門の仕事」と突き放していては、組織の信頼構造は築けません。

 「強いブランド」を持つ企業は、不確実な時代においても株価や業績で高いレジリエンス(適応力)を発揮します。ブランドとは「高価」なことではなく、顧客にとって「不可欠」であることです。

 日本には、世界から評価される「中古品への信頼(#usedinjapan)」のように、まだ眠っている信頼の資産が数多くあります。単なるイメージ戦略としてのブランディングを卒業し、経営の柱に「信頼による差別化」を据えてください。それが、日本企業が再びグローバルで「Matter(重要な存在)」になるための唯一の道です。

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レイ・イナモト『Brand Shift(ブランド・シフト): 「信頼」で選ばれる時代の成長戦略』(東洋経済新報社、2026年)

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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