社外パートナーから社内パートナーとしてのサービスデザインチームへ
基調講演に登壇したのは、米国を代表するサービスデザインエージェンシーの1つ、サンフランシスコを拠点とするAdaptive Pathのデザインディレクター、ジェイミン・ヘジマン氏。同社におけるサービスデザインの現場の経験をもとに、デザイナーとノン・デザイナーによる共創プロセスのあり方についてアドバイスを提供した。
Adaptive Pathは、01年の設立以来14年まで、金融、コンシューマー、エネルギーなど各種セクターにクライアントをもつ典型的なデザインエージェンシーだった。14年10月にアメリカの銀行Captital Oneに取得され、30人のサービスデザインチームとして、従業員4万5000人の大企業の傘下に入った。Captital Oneは、預金やローンなどの通常の銀行業務に加え、クレジットカード会社としての機能や支払い方法多様化への対応も進めている。こうしたなか、デザインへの投資を増やしており、Adaptive Pathには社内のサービスデザイン能力の向上をリードするよう求められている。ヘジマン氏は環境の変化について次のように語った。
Captital Oneに参画してからノン・デザイナーの社員とプロジェクトを一緒に進めてきて、1年ほど経ちました。この間に社内で『サービスデザイン』ということばが使われるようになり、ジャーニー、エコシステム、共創価値といったサービスデザイン用語も組織全体に広まってきました。
世界的なトレンドとして、ノン・デザイナーも、最初から最後までのサービスのプロセス全般を理解するためには、カスタマージャーニーマップ、サービスブループリントといったサービスデザインツールが役立つことを知るようになり、組織的に活用しはじめている。
こうしてノン・デザイナーも参画するようになったサービスデザインのスコープは、どこまで広がっているのだろうか。次ページから見ていこう。