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多様なワークスタイルを個人が選ぶ時代は、働き方が“生き方”になる

第2回

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企業と個人の関係性

 近年、多様なワークスタイルが認知されてきている。

 リモートワークの導入は以前から一部で活発に議論されてきたが、現在はSansan株式会社のようにサテライトオフィスを地方に設置し、自主的にその土地へ移住するという選択をする人も増えているそうだ。営業展開のために地方に支社を設立して、転勤を命ぜられることとは性質が違う。リモートワークと聞くと、何らかの事情を持って、出勤に支障を持たすためやむをえなく…というイメージがあるかもしれない。しかし、昨今は働くことを自分の人生と組み込んで働き方を考えるような議論に変わってきていると思う。

 弊社ZEPPELINでも、4月より大幅に人事制度をリニューアルし、より「シンプル」「自由」をコンセプトに制度を再構築した。大きな変化としてはフレックス制度の導入を開始したことだ。コアタイムを9時から16時までと設定し、その前後2時間は各個人の仕事やプライベートの状況に合わせて勤務時間を任せている。最終的に月160時間の総労働時間を満たせば、1日の勤務時間は柔軟に選択できる。

 コアタイムが始業9時から始まる特殊なフレックスタイム制にしたのは、創業時から続くクルー(社員)全員でのオフィスの掃除から1日が始まる習慣を残したかったからだ。全員と朝から顔を合わすことで、部署や担当プロジェクトを超えて自然と一言、二言言葉を交わす。そんな何気ない日常に価値があると感じている。フレックス制度の導入には、経営チームからだいぶ反対もあり多くの議論をしたが、個々のメリハリがついてきて全体的に労働時間が減少し、効率性があがっている。これにより、全体の平均残業時間も25時間を下回るという結果を得ることができ、今後の動きも注意深く観察しているところである。

 そもそも、会社で働くというのはどういうことか。20世紀初めの日本では、現在のように会社勤めをしている人は主流ではなく、多くの人が農業に従事していた。工業化を経て、毎日決まった時間に会社や工場に勤めるスタイルが確立してきた。つい50年前ぐらいには、農村から首都圏に職を求めて集団就職という形で都市に人口が集中していった。これにより、都市圏に産業や会社が集中し、人口増加や物価の上昇が起きた。経済成長の真っ只中には、終身雇用と家族的経営により、長時間労働や長時間通勤など時間を切り売りする人たちが増えていった。企業寿命も短くなり、経済成長も鈍化する中で、個人の価値観もより多様化し、さらにはテクノロジーの進化も著しい。ではこれからの時代、改めて「会社で働くとは何か」改めて考察してみたい。

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この記事の著者

福山 秀仁(フクヤマ ヒデヒト)

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