事業コンセプトに求められること
最後にここまでのおさらいとして、実在するサービスのコンセプトをVDSの各ボックスに整理してみよう。例として用いるのは、高級ドレスのレンタルができる米国のファッション・サブスクリプションサービス『Rent The Runway』だ。同サービスのコンセプトを、ここまでの話をもとに整理すると以下のようになる。
ミクロな視座
- 顧客:創業者の妹 ベッキー
- 課題:結婚式に着ていくためのドレスが欲しいが、高くて手が届かない。かといって、普段着で行くわけにもいかない
- 価値:結婚式に着ていける、特別でおしゃれなドレスが安く手に入る
マクロな視座
- 顧客:10~20代でファッションへの関心が高く、お金をかけたいがかけられない層
- 課題:特別な日に着るための、一度きりの特別な衣装が欲しいが買えない
- 価値:特別な日に、毎回新しい特別な衣装で出かけることができる
コンセプトに求められるのは、「一人に熱狂される確信」と「(市場の)サイズが見込める確証」の両立だ。そのためには、徹底的に解像度とリアリティを高める「ミクロ」の視座と、抽象化を通じた「マクロ」の視座、双方の往復が必要となる。