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企業価値向上のためのFP&A

味の素グループが中計を廃止し目指すこと──FP&Aが主導する「2030ロードマップ」達成の算定式とは

ゲスト:味の素株式会社 水谷英一氏、服部公一氏

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ブラジルでFP&Aの価値を示した「攻めのRGM」

池側:「スピードアップ×スケールアップ」の具体例として、特にブラジルでのDXが進んでいると伺いました。

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【聞き手】ストラットコンサルティング株式会社 代表・FP&Aアドバイザー 池側 千絵氏

水谷:はい。ブラジル法人では、RGM(Revenue Growth Management:売上収益最大化)とDXを組み合わせた取り組みが成果を上げています。象徴的なのが、2022年に独自開発したBtoB向けプラットフォーム「Meu Pedido(メウ・ペジード)」です。

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資料提供:味の素株式会社/クリックすると拡大します

池側:どのようなシステムでしょうか。

水谷:流通業者から小売業者への販売を強化するEコマース基盤です。アナログな受発注をデジタル化し、注文へタイムリーに対応できるようになった結果、2024年度は前年比6倍ものEコマース売上を達成しています。

池側:6倍とは驚異的ですね。

水谷:上の図の真ん中「データを活用した経営の高度化」の取り組みで重要なのは、得られたデータがRGMに直結している点です。データベースを活用し、競合他社を含む小売売上高まで追跡できる仕組みを構築しました。「どのエリアで、どのSKU(Stock Keeping Unit:最小管理単位)が、いくらで売れているか」が可視化され、顧客(小売店)へ競争力のある提案が可能になり、シェア拡大と収益性向上を同時に実現しています。

池側:データの可視化が営業現場の武器になっているのですね。

水谷:さらに、工場のオペレーション自動化も進めています。バリューチェーン全体でDXによる生産性向上を推進しており、こうした「データを活用した経営の高度化」こそが、私たちが目指すFP&Aの基盤です。

製造と販売の壁。国内事業が抱えていた「原価のブラックボックス」

池側:一方で、服部さんが担当するコンシュマーフーズ事業部の国内事業ではどのような課題があったのでしょうか。

服部:私が着任した2022年当時、国内事業には「連結ベースでの原価、および売上から売上総利益(GP:Gross Profit)までの構造把握ができていない」という課題がありました。

池側:日本企業ではよく聞く話です。法人ごとの経営管理が基本になっているからなのか。もしくは味の素ほどの大企業でも、法人をまたがった商品ごとの原価把握が難しいということでしょうか。

服部:はい。子会社で製造し親会社が仕入れて販売するというスキームで、子会社側で発生する「変動費」「固定費」「マージン」が合算された価格が親会社の「仕入価格」となります。しかし、この「仕入価格」が「変動費」一本としてシステム上反映されるため、連結ベースのコストが見えないという状況でした。

池側:親会社からは製造原価の内訳が見えない「ブラックボックス」になっていたわけですね。

服部:その通りです。これでは原価上昇の要因が、原材料高騰なのか、数量減による固定費単価アップ(操業度差異)なのかわかりません。特に2021年度以降、原材料高騰など環境が激変した時期でした。コスト構造が不明瞭なままでは適切な手が打てず、製造子会社への問い合せばかりが増え、現場が疲弊していました。

池側:ローリングフォーキャスト作成にも支障が出そうです。

服部:はい。アナログ作業での作成のため実績との乖離が大きく、数量データもシステム間でつながっていないため要因分解も不完全でした。このままでは構造把握ができず適切なアクションが打てないと痛感し、採算管理の仕組みを根本から作り直すプロジェクトに着手しました。

池側:その“ブラックボックス”をどのように解消されたのですか。

次のページ
原価のブラックボックスを解消した方法

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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