撤退?スピンアウト?PeerCrossが迎えた幸福な出口
椿:事業スタートから約3年が経ち、社内起業ならではの出口のフェーズを迎えたとお聞きしました。どのような意思決定をされたんですか?

小西:ON1000で生まれた新規事業は、約3年で出口を考える岐路に立たされます。撤退やスピンアウトも選択肢にある中、2026年7月にJR東日本グループの1つであり、人材・研修サービスを展開するJR東日本パーソネルサービスへPeerCrossの事業を移管することが決まりました。
椿:素晴らしいですね! 最近は大企業発のスタートアップとして、外の資本を入れてカーブアウトするところも多い中、あえてグループ内移管を選んだ理由が知りたいです。
小西:私もカーブアウトをはじめ、様々な選択肢を検討しました。私が事業を始めた理由は「日本の社会課題を解決すること」にあります。グループ会社には法人営業組織があるため、JRのブランドを最大限に活かし、既存の研修・人材サービスとのシナジーを生みながら着実にサービスを広げていくほうが、圧倒的にPeerCrossらしく戦えると思ったのです。
椿:素晴らしい選択だと思います。事業にとっても利用者にとっても、そして小西さん自身のワークライフバランスの観点からも、最もハッピーなイグジットと言えるのではないでしょうか。
新規事業では“360度経営者経験”が積める
椿:小西さんを見ていると、新規事業を牽引するリーダーに必要なスキル、特に「巻き込み力」が突き抜けていると感じます。そんな小西さんが考える、新規事業で活躍できる人の共通点を教えてください。
小西:やはり「Doing(動けること)」がすべてではないでしょうか。デスクトップリサーチをして、綺麗な企画書を作る人は数多くいます。しかし、新規事業は外に出てヒアリングをしたときに辛辣なフィードバックを受けることの連続です。その痛みに負けず、相手の話を聞いて柔軟に調整しながら動きまくれるかどうかが事業の成否を分ける。そう思いながら進めてきました。
椿:小西さんを動かすエネルギーはどこから湧いてくるのでしょうか。
小西:自分自身のウィル(強い意志)や、実体験に基づいた動機が原動力だと感じています。マミートラックに陥った原体験、そして応援してくれる方がなければ、ここまで熱量を持って5年間走り続けることは絶対にできませんでした。体験と動機が紐づいているからこそ、人はしんどい状況でも動き続けられるのだと思います。
椿:最後に、新規事業へ挑もうとしている読者に向けてメッセージをお願いします。
小西:いつでも誰でも打席に立てるという意味において、新規事業はエクイティ(公平性)が非常に高いと思います。時間の制約があるワーママであっても、スケジュールを自分でハンドリングしながら高いパフォーマンスを発揮できるからです。
もしあのときに手を挙げていなかったら、私はマミートラックから脱出できず、会社を辞めていたかもしれません。だからこそ、今こうして仕事に熱中できていることに感謝していますし、一歩を踏み出して良かったと心から思っています。
新規事業という打席では「360度経営者経験」とも言える成長機会を、職種や世代、性別、そしてライフイベントの有無に関わらず得ることができます。もし自分の意志で仕事をおもしろくしていきたいと考えるのであれば、ぜひ一歩を踏み出してほしいです。
椿:グループ会社でのさらなる飛躍を楽しみにしています。本日は貴重なお話をありがとうございました!
