月3,000時間のムダを一掃した「すてるば」の仕組み
栗原:kubellにおいて、月3,000時間のムダを削減したという全社決裁の仕組み「すてるば」の具体的なプロセスを教えてください。
角田:そもそも「すてるば」とは、現場から「無駄だ」と思う業務や慣習を洗い出してもらい、それを経営陣が参加する会議の場で次々と「捨てる」と即決して手放していく取り組みです。具体的な進め方ですが、ボトムアップだけに頼ると時間がかかるため、現場から積み上げつつも、最終的には経営陣が1日で一気に決めるメリハリを意識しました。期間としては約1.5〜2ヵ月(現場洗い出し1ヵ月→事務局整理・事前すり合わせ0.5〜1ヵ月)で実施しています。
現場での洗い出しにあたっては、「捨てるものがある?」と漠然と聞いても非効率なため、共通のフォーマット(部署名、捨てるもの、捨てる内容の詳細、削減時間/月、捨てる上での懸念・負の影響)を配布しました。
最大のポイントは、「捨てることで生じるデメリットや負の影響」を必ずセットで書き出すことです。これにより、経営陣が「削減効果 > デメリット」かどうかを客観的に判断する材料が揃い、現場の心理的負担も下げられます。
結果として、約1.5〜2ヵ月という短期間で、全社労働時間の約5%に相当する月3,000時間超(人件費で年1.3億円換算)の削減に成功しました。組織に蓄積していた“謎ルール”が一掃され、従業員の精神的負荷が低減する副次効果もありました。
計画策定「前」に実施する。タイミングの妙とは
栗原:この取り組みを文化として根付かせるための工夫や、ガバナンスとアジャイルの融合方法についてはいかがですか。
角田:実施するタイミングが極めて重要です。具体的には、次年度の事業計画策定が本格化する直前(kubellでは8月)に毎年定期実施しています。業務やルールは時の経過とともにどうしても増えていってしまうものなので、定期的な「整理整頓」が必要です。事業計画を作る「前」に徹底的に捨てることで、計画に無駄な予算や人員が割かれるのを回避し、本当に必要なものへ投資できる状態を作れます。
またガバナンスに関しては、その会社の規模やフェーズに応じた「統制の適切さ」を見極めることが重要です。生産性のみならずガバナンスも重視すべきであるのはもちろんですが、過去の経緯の積み重ねにより、守りの仕組みがいつの間にか過剰な状態になっているケースは少なくありません。内部統制の目的の1つにも「業務の有効性および効率性」とあるように、仕組みが企業の目標を効率的に達成できるものになっているかについては、内部監査やコーポレート部門などの関係部署とも連携して確認すべき観点だと考えます。
