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戦略実行を支援する人事「HRBP」──両利きの経営で成果を出した企業、頓挫した企業の決定的な差とは

ゲスト:株式会社アクション・デザイン代表取締役、経営ケース研究所所長 加藤雅則氏

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戦略を動かす「経営・FP&A・HRBP」のトライアングル

栗原:経営側が「戦略を変えたからよろしく」と言っても現場は変わらず、真ん中にボールが落ちて誰も動かない状態に陥りがちですね。

加藤:そのとおりです。戦略を変えるなら、「1:ビジネスプロセスの見直し」「2:組織機能の再設計」「3:組織活動への落とし込み(具体名の人物配置)」という3点セットで考える必要があります。世の中では「人的資本経営」が叫ばれていますが、「戦略」からいきなり「人」へ飛んでしまい、その間に必要な「組織デザイン」が抜け落ちている企業が多いのが現状です。

栗原:その欠落した部分を埋め、財務と人・組織の両面から戦略実行を支えるのが「FP&A」と「HRBP」というわけですね。

加藤:はい。全社レベルでCEO・CFO・CHROが連携するように、事業(部門)単位でも「部門長・FP&A・HRBP」の3者がチームとなる「部門経営のトライアングル」を作ることが不可欠です。

画像を説明するテキストなくても可
図版出典:加藤雅則『HRBP――戦略実行を支援する人事』(英治出版)を参照し、編集部で作図/クリックすると拡大します

栗原:かつては優秀な事業責任者が、部門の財務も人事も一人でこなしていた時代もあったと聞きます。

加藤:昔は事業責任者個人の能力でカバーできました。しかし現代は中途採用が拡大し、価値観の異なる多様な5つの世代が混在しています。事業責任者一人にすべてを把握・統括させようとするのは無理があります。だからこそ、事業単位にもこのトライアングルを配置し、事業責任者の対話相手(壁打ち相手)として戦略実行を支える構造が必要なのです。

人事部門の壁とウルリッチの「4象限」のジレンマ

栗原:事業側には人・組織に関する強いニーズがある一方、人事部門に対して「事業部門の現場を分かっていない」という不満も聞かれます。

加藤:日本企業の人事は「平等性」に縛られがちで、「制度運用」に偏りがちです。一方の人材開発側は抽象的な理論や理想論に傾倒しやすく、事業のリアリティから乖離してしまう。その結果、事業側から信頼されず、専門性の壁に閉じこもってしまう悪循環が一部では起きています。しかし見方を変えれば、ここにこそ「人事のフロンティア」があります。

栗原:ミシガン大学ロス・ビジネススクールのデイビッド・ウルリッチ教授の「HRの4つの役割」から見ると、この問題はどのように整理できますか。

加藤:ウルリッチの4象限は「戦略パートナー」「変革推進者」「管理エキスパート」「従業員チャンピオン」で構成されます。実務上、ここには「上下の壁」が存在します。

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図版出典:加藤雅則『HRBP――戦略実行を支援する人事』(英治出版)を参照し、編集部で作図/クリックすると拡大します

 下の2象限(管理エキスパート・従業員チャンピオン)は、定型的な制度運用やサーベイ対応といった「人事のリズム」で動きます。対して上の2象限(戦略パートナー・変革推進者)は、ビジネスの変化とスピードに合わせた「事業のリズム」で動きます。

 多くの現場人事が業務運営(下側)にとどまってしまい、未来や戦略を見据える上側の役割へ踏み出せずにいます。HRBPの本質は、人事のリズムから抜け出し、事業責任者のパートナーとして「戦略実行のために人・組織をどう動かすか」を追及することにあります。

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戦略を組織活動へ落とし込む「2回の翻訳」とコングルエンス・モデル

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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