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サブスクリプション時代の新常識

顧客減に悩むWOWOWを12年連続顧客増に導いた大坂さん流の“カスタマーサクセス”とは?

第10回 特別対談 ゲスト:大坂祐希枝さん

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WOWOWの大量加入・大量解約を招いた2つの要因

山田ひさのり氏(Sansan株式会社、以下敬称略):大坂さんは2016年にWOWOWを退職されていますが、今回はWOWOW時代の話を中心に聞かせてください。昨年上梓された『売上の8割を占める優良顧客を逃さない方法 利益を伸ばすリテンションマーケティング入門』を拝読したのですが、大坂さんがリテンション(既存顧客維持)担当に就いた当時は大変な状況だったようですね。年間56万人の新規加入に対して、年間55万5000人の解約があったと読んで非常に驚きました。

大坂祐希枝氏(以下敬称略):WOWOWは1991年の開局以来、11年間は総加入件数を伸ばし続けていました。しかし、2002年に初めて解約数が新規加入を上回り、そこから4年連続で会員数の純減が続きます。そこからテコ入れを図ったのですが、2007年にも56万人の新規加入に55万5000人の解約と、5000人しか増えなかったのです。

山田:なぜそういった状況になったのでしょうか。WOWOWは昔も今もコンテンツは強いと感じているのですが。

大坂:今改めて考えると、2つの要因があったと思います。1つはWOWOWを含むBS放送の外的環境が変わったこと、もう1つは当時の新規加入者の獲得方法です。

 開局以来WOWOWは、電器店や家電量販店を代理店とする方法で新規契約を獲得していました。アナログ放送だったころは、WOWOWを視聴するための専用の機器をテレビの後ろに取り付けることで、スクランブルを解除していました。この方式では、店頭で契約が完結するため、代理店による新規契約の獲得が最も効率的な方法でした。

山田:レ点をつけてもらうだけで契約が終わる、いわゆる「レ点ビジネス」ですね。

大坂:そうです。そこにBS放送のデジタル化の波がやってきました。デジタル化によってスクランブル解除の方法が変わり、契約を店頭で完結させることができなくなりました。視聴するためには、お客様が直接WOWOWに電話をしなければならなくなったのです。とはいえ、移行期間としてアナログとデジタルが併存していましたし、開局以来続いている代理店との関係もあり、代理店方式を急にやめることはできませんでした。

 新規加入者の獲得方法も加入件数減少と解約増加の要因です。当時、お客様側のインセンティブとして「加入後2ヵ月無料」といったキャンペーンを行っていました。代理店は契約数に応じた手数料収入が入るため、「2ヵ月経てば退会していい」と勧めるようになっていきます。その結果、100人新規契約した場合の2ヵ月後の解約数が、はっきりと予測できる状態になりました。キャンペーンの副作用として解約数が増え、解約数以上の新規契約獲得を目指して新たなキャンペーンを打つという負のスパイラルに陥っていたのです。

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