アドバイザーではなく当事者へ──「変革参謀」の定義と活動
栗原:「変革参謀」の定義や、ローランド・ベルガーの企業変革支援チームの活動内容を教えてください。
田村:一言で言えば「結果責任を負って最前線で戦う人」です。社内外を問わず「結果責任を負う当事者であること」が定義です。アドバイザーとして正論を語るだけの人は山ほどいますが、ローランド・ベルガーは「これを一緒にやりましょう。場合によっては、最初のところは代わりにやります」と実行するのが特徴です。
野本:本書にも書きましたが、「変革参謀とは職種でも肩書きでもなく、スタンスの名前」なのです。経営者が抱える「覚悟」を、自らも当事者として引き受けるスタンスがあるか。
これは「平時」の変革でも同様です。通常の戦略コンサルティングファームは「8週間で答えを書き、報告書を渡す」イメージですが、私たちのプロジェクトは半年から数年間、クライアントと共に変革の実行に深くコミットします。経営者の頭の中にあるさまざまな課題に密に対話し、親身に伴走するため、プロジェクトの途中で追加プロジェクトのご相談をいただくことも多いです。実動部隊のトップとして経営者の頭の中を整理し、覚悟を持って前に動かします。
「第五世代」の戦略コンサルティングが目指すもの
栗原:コンサルティングファームの系譜を語られており、現代に必要なアプローチを「第五世代戦略」と位置づけられていますね。その背景を教えてください。
田村:日本の戦略コンサル業界の歴史は、役割とともに変化してきました。
- 第1世代(1970年代~):卓越した知恵で大局的な方向性を示す個人の外部アドバイザー
- 第2世代(1990年代):チームで会社に深く入り込む「インサイダー」
- 第3世代(2000年代):有事の変革のための分析メインの「アウトサイド・イン」
- 第4世代(2015年頃~現代):領域毎の専門家を多数揃えた「百貨店化」
第4世代の原点は、問題を細かく分ければ正解が見つかるという「要素還元主義」です。しかし会社はすべてつながっており、分けても意味がありません。各論の健康診断はできても治療はできない状態です。
重要なのは、もう一度すべてを「統合(インテグレート)」することであり、それを「第5世代」と呼んでいます。アウトサイドとインサイドの視点を統合しなければ、本質的な変革はできません。企業経営に近いポジションを行き来する「リボルビングドア(回転扉)」ができる業界に変革すべきです。
野本:経営者の頭の中で、戦略は実は一部にしかすぎません。毎日戦略を考えたところで組織は変わりません。経営者は「どうやって組織を動かすか」に悩んでいるのです。資本市場、社員、顧客からの整合が取れない中で前進しなければならないからこそ、全体を統合する「第五世代」の存在が今、強く求められています。
