文化は仕組みの「結果」である──規律と成功体験から始める変革プログラム
栗原:絶えず変わり続けられる組織文化にするには、どうすればよいでしょうか。
田村:綺麗事を掲げる「風土改革プロジェクト」はあまり意味がありません。現状の文化を作ってしまっている「理屈、仕組み、仕掛け」を理解し、そこを変えなければ結果としての文化は変わりません。挑戦する文化がないのは、挑戦すると損をする評価制度や構造があるからです。変革は「気合」ではなく「仕組み」であり、文化はあくまで「結果」なのです。
野本:本書では、文化の正体とは「規律と成功体験」であると書きました。変革できない組織には規律がありません。初期に規律を整備することで変革の土壌が出来上がります。
ただし、規律を守ることは現場に痛みを伴うため、「守るといいことがある」という明確な成功体験を初期に小さくても積ませる。ですから、これは一過性の「プロジェクト」ではなく、仕組み化された「プログラム」です。規律を設計し、成功体験を積み重ねる仕組みの先にしか、カルチャーの変革はありません。
組織を揺らし、次世代の経営幹部を輩出する訓練を積み上げる
栗原:規律が定着した後の、さらにその先にある展望をお聞かせください。
野本:規律が定着してそのまま硬直化すると、変革が止まるリスクがあります。変革を続けるには、一度定着した組織文化を経営者がたまに「揺らす」ことが必要です。大きな課題を与え、「本当に今のままでいいのか」と本質的な問いを投げかける。あえて揺らすことで、「自分たちで変化しなければ」という自律的な意識が芽生えていきます。
田村:私たちの変革のゴールは、外部のコンサルタントがいなくなっても、組織内部から次々と「変革参謀」が輩出され、自律的に変わり続けられる状態です。
日本社会において、経営の全体観を持って領空侵犯しながら結果にコミットする「変革参謀」というスタンスを、将来の経営幹部を輩出する「登竜門」にしていく。私たちのチームがその一助になれればと考えています。最前線でドロドロになりながら意思決定に関与する変革参謀の活動は、次世代リーダーを育てる最高の訓練になります。
栗原:仕組みを導入し、規律と成功体験を重ね、組織を揺らし続ける。ミドル層が「変革参謀」のスタンスを身につけ、経営の文脈を引き受けていくことの大切さが本当によく分かりました。ありがとうございました。

