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「デジタル・チェンジ・エージェント」とは

企業が“何者でありたいのか”を明文化した「コアバリュー」──DX実現のための組織カルチャーとは?

第4回

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「心理的安全性」を組織に導入するのは、トップダウンでも草の根でもない──“2階層上”を巻き込む意味

 筆者は2018年に行われたGoogle主催イベントのセッションで講演しました。テーマは「カルチャードリブンな組織作り」でした。この講演で筆者は、以下の4つのステップをお伝えしました。

  1. トップのコミット
  2. カルチャーの位置付けの明確化&向上
  3. カルチャーの維持・向上への投資
  4. カルチャー・アクティビティの実施とPDCA

 1から3はカルチャーの安定的な導入と維持向上のための考え方で、4がその具体的な実施内容になります。変革を求める企業に必要なカルチャーの要素は「心理的安全性」と「共創」だと当社では考えています。特に「心理的安全性」こそ、Googleが世の中に広めた変革の必須要素であり、これからの時代に必要な「思考のOS」の中心思想になるものだと考えています。

 この後、上記の4ステップについてそれぞれ詳細に述べていきたいと思います。

1.トップのコミット

タイトル

 至極当たり前なことですが、何かを変えようとしたら、そのことに対してトップがコミットしない限り、現場を動かすことはできません。ただ、会社としてDXを実現するためにコミットすべき内容が「心理的安全性」と「共創」というカルチャーの導入なので、実は非常に難しくなります。なぜなら、特に「心理的安全性」を確保するということは、恐らく多くのトップに対してマネジメントスタイルの変更を求めるからです。

 「心理的安全性」が確保された状態というのは、「他者の反応に怯えることや羞恥心を感じることなく、自然体の自分を曝け出すことのできる環境や雰囲気のこと」であり、そこでは「権威」と「上下関係」のリセットが求められます。特に日本企業のように伝統的に上下関係を大切にするマネジメントスタイルを取っている企業のトップにとって、それがリセットされた後の世界を想像することがそもそも難しい側面があります。

 よって日本の大企業でいきなりCEOレベルがこの取り組みにコミットすることは、理想ではあってもあまり現実的ではないことになります。ではどうしたら良いのでしょうか?

 実はカルチャーの導入にはある程度の投資が必要になるため、完全なる草の根活動はそぐいません。ですので、もし皆さんが一般社員であるならディレクターに、マネージャーであるなら事業統括役員に、ディレクターであるならCEO/COOにといった、現実的にリーチできる2レイヤー程度上から「活動への許可」をもらい、結果を出し、許可を出した上司の範囲内で横展開していくことである程度のパイを占めていくのが現実的と考えます。

 実際、当社のような規模の小さな新しい企業であっても、最初から10拠点でこのようなカルチャーを会社として統一して実施できていたわけではありません。アジア太平洋エリアを統括していたマネージャーが自身の職掌範囲で実施したことに端を発します。成果をあげて拠点そのものを増やしていきながら、カルチャーを他拠点へ横展開しました。最終的には彼がグローバルCEOに就任することで、全社標準の取り組みとして実施されるようになります。

 筆者はよく当社のカルチャーに関する取り組みをクライアントに説明する機会があるのですが、強い共感を示してもらえることが非常に多くあります。ただ、実際の導入となるといくつかの会社でトライアルを始めた程度で、本格的な導入にはまだ時間を要するようです。逆に、だからこそ、先に実現できた企業ほど、そのアドバンテージは非常に大きくなると思われます。

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戦略はいとも簡単に“カルチャーに飲み込まれる”

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この記事の著者

根岸 慶(ネギシ ケイ)

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