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「大企業による新規事業」のリアル

セガ×電通で目指すゲーミフィケーションによる社会課題解決──新規事業開発におけるJVのメリットとは?

第24回 ゲスト:セガ エックスディー 片山智弘氏

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社内起業家の片山さんがゲーミフィケーションに注目した理由

畠山和也氏(以下、敬称略):大学時代に起業されたのち、その会社をM&Aで売却し、電通に入社。その後も一貫して新規事業畑を歩まれている片山さんですが、クロシードデジタル社(セガ エックスディーの前身)にジョインして、ゲーミフィケーションに携わるようになったきっかけを教えてください。

片山智弘氏(以下、敬称略):電通の新規事業部に、ベンチャー企業への投資判断をする仕事があり、そこで出会ったのが、クロシードデジタル社(現セガ エックスディー)でCOOを務める伊藤(真人氏)でした。

 ゲーム以外のサービスにゲームの性質を利活用する「ゲーミフィケーション」という言葉は10年以上前からありましたが、制作・実装まで行える会社で市場のリーダー的になっている会社は当時の日本にはありませんでした。クロシードデジタル社はセガの新規事業プロジェクトからスピンアウトしたこともあり、ゲーミフィケーションの分野で制作・実装まで行える日本初の企業になるのではと感じました。私自身、今後の社会課題を解決していくには、ゲーミフィケーションが大きな役割を果たすと考えていたので、伊藤とはときどき情報交換をするようになりました。

畠山:ゲーミフィケーションに注目された理由を教えてください。

片山:個人的な話と電通としての話の2つがあります。

 個人的な話として、私自身が理系の人間で、思考することがとても好きだというのが根本的な理由です。マーケティングは構造について考えるのが好きですし、オープンイノベーションも「なぜこの会社とこの会社が組むと良くなるのか」「どうすればグロースハックしやすいのか」などを探求するのがとにかく好きでした。その文脈で随分前から、社会に貢献できるメソドロジーとしてのゲーミフィケーションに注目していていました。

 電通としては、従来のいわゆる“刈り取り式”の顧客獲得手法に加えて、ユーザーに興味を持ってもらうための次の打ち手として、ゲーミフィケーションが有効なのではと考えたからです。ブランドのためにゲームを作るとか、ユーザーとのエンゲージメントをゲーム的な要素で上げるといったことが、今後の活路になりそうだと感じました。

 たとえば、教育やヘルスケアの分野は、意識が高い人がやるのであればゲーミフィケーションは不要ですが、興味はあるけれどなかなか続かない人には、ゲーミフィケーションによる手助けが有効かもしれません。

畠山:企業研修もそうですよね。DXが普及していくと、研修やリカレント教育が重要になっていくと思いますが、そこでも続けてもらうための工夫が必要です。

片山:まさに研修会社さんからのお問い合わせも数多くいただいています。研修って、ほとんどの人が最初は頑張るのですが、だんだんレポートの提出率が下がるんですよね。そういう場面でゲーミフィケーションが使えると考えています。

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この記事の著者

佐藤 友美(サトウ ユミ)

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