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新規事業の“デジタル・ゲームチェンジ”

なぜ事業開発は“アイデア発想”で頓挫するのか──顧客課題から始まる“ストーリー開発”アプローチとは?

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新規事業開発における「上申」にある、決裁者と起案者のズレとは

BusinessModel Syntax

 企業内で新規事業を実現するプロセスの中で、いくつかのハードルが「上申」というカタチで存在します。

 企業によってその内容やタイミングは異なりますが、主に「コンセプト上申」「実証実験上申」「事業化上申」の3種が存在し、中でも企業としての投資が事業構想段階と比べると一段階引き上がることになる「実証実験上申」は、新規事業実現の大きなハードルの1つとなっています。

 現に「事業アイデアは保有しているが、具体化に進めるための承認が得られない」、「実際に市場で試してみる実証実験の承認が下りない」という新規事業担当者の方々からのご相談や、「社内公募などを通じてビジネスアイデア自体は色々と上がってくるが、いずれも魅力的ではなく、具体化・試してみる価値を感じることができない」といった決裁者側のお悩みをお伺いさせていただく機会は非常に多いです。

なぜ「試してみる/具体化」に進むことができないのか

 なぜ、実証実験上申のハードルは高くなってしまうのでしょうか。その原因は、決裁者側が「答えてほしい問い」と事業案の新規事業担当者側が「答えようとしている問い」にズレが生じているからではないかと考えています。

BusinessModel Syntax

 事業アイデアには決裁権を持つ上長やその他社内ステークホルダーから様々な指摘が入りますが、それらの指摘・質問は大きく下記4点に分類することができます。

  1. 受容性:本当に顧客が求めているのか?
  2. 実現性:顧客が求める価値を本当に実現できるのか?
  3. 優位性:競合/代替品に対しての優位性はどこにあるのか?
  4. 収益性:利益は見込めるのか、どの程度の規模が見込めるのか?

 これらの質問を通じて決裁者が判断をしようとしていること、起案者に対して答えてほしい問いは「その事業アイデアは本当に“成立”するのかどうか」です。

 新規事業担当者側は「顧客」や「提供したい価値」、「仕組み」や「収益モデル」などを検討し、自身の事業アイデアの具体化に努める中で、各要素の検討に必死になるあまり、「Why:なぜ成立するのか?」という問いへの意識が徐々に薄れ、「What/How:どのような事業なのか」という問いにのみ向き合っている状態になりがちです。

 決裁者として答えてほしい問いは「Why:なぜこの事業が成立するのか」であり、このズレがアイデア発想で終わってしまう大きな原因となってしまっているのです。当然、事業アイデアを実際に試してみる「実証実験」の前段階においては、まだ断定できないこと、仮説も多分に存在します。その中でも、新規事業担当者は「どのような事業アイデア」なのかだけでなく、「なぜ事業が成立すると考えているのか」について答えられる状態を創ることが必要となると考えています。

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この記事の著者

堀 雅彦(ホリ マサヒコ)

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