2026年7月1日、キリンと三菱総合研究所(MRI)は、AIを活用して外部環境変化を迅速かつ多面的に把握し、企業経営に与える影響を先読みするAIインテリジェンス「FLYING BUTTERFLY」を共同開発したと発表した。本システムは7月に稼働を開始する。

近年、地政学リスクやサプライチェーンの変動、政策・規制動向など、企業を取り巻く外部環境の不確実性が高まっている。こうした状況では、個別部門ごとではなく経営視点で横断的に情報を収集・分析し、将来の機会やリスクを的確に見極める重要性が増している。キリンも多様な事業をグローバル展開する中で、外部環境の変化が経営判断や事業運営に及ぼす影響を把握するインテリジェンス機能強化の必要性に直面していた。しかし関連情報は広範で膨大なため、収集や分析、経営判断への活用が今までの課題だった。
この課題解決に向け、両社は「FLYING BUTTERFLY」を開発した。本AIは、主に2つの情報源を連結する。1つは地政学リスクや政策・規制動向、サプライチェーンの変動などの外部環境情報。もう1つはキリン社内の事業・機能情報である。シンクタンクであるMRIの知見を組み合わせ、AIが関連情報を自動収集・整理した上で各事業への影響を分析する。さらに、キリン独自の判定ロジックも組み込み、通常のAI分析との差別化を図った。
「FLYING BUTTERFLY」では、複数のAIによる外部環境のモニタリングや関連性抽出、事業・機能との関連付け、論点整理などの機能を実装。さらに、想定される複数のシナリオを対話形式で具体化し、定期的なアップデートを行いながら事業影響や規模を把握できる。テーマ間の関係も構造化し、定性的なインパクト評価や経営・事業部門で使いやすい形式のレポート作成も可能とした。
キリンは本AIの活用により、マクロ環境の動向への視野拡大と、現在の事実にとどまらない先読み型のシナリオ分析を行う。経営層の意思決定や戦略策定を支える経営基盤の強化を目指す。またMRIは、培ってきたAI技術とシンクタンクの知見を融合し、さまざまな企業・業界のインテリジェンス機能高度化を進める。
今後、「FLYING BUTTERFLY」内AIの連携による自動化や収集・分析レベルの精緻化を図ることで、不確実性の高い事業環境への対応力強化と経営判断の質向上に寄与していく。
【関連記事】
・キリンHD、「環境報告書2026」を公開 気候・自然関連リスク評価を大幅強化
・キリングループ、「統合レポート2026」を発行新長期経営構想「Innovate2035!」を本格始動
・キリンホールディングス、女性経営職比率と男性育休取得率の目標を2025年達成
